ヒト乳癌におけるXBP-1遺伝子の発現

目的:X-box binding protein-1(XBP-1)は, 免疫グロブリン分泌や形質細胞の発生に不可欠とされている転写因子である. 最近では, estrogen receptorα(ERα)と連動して発現が上昇するとされ, 乳癌のホルモン依存性や発癌にかかわっている可能性がある. また, 小胞体ストレスに関係する転写因子でもあり, apoptosis関連遺伝子のcaspase発現に関係しているとされている. 今回われわれは, 乳癌におけるXBP-1の発現を, ヒト乳癌培養細胞株, 切除乳腺組織を用いて検討した. 方法:ヒト乳癌培養細胞株5種類および乳癌切除11例の癌部および非癌部の...

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Hauptverfasser: 浅香晋一, 藤本崇司, 赤石純子, 津曲幸二, 永井尚生, 江見充, 音田正光, 小川健治
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:X-box binding protein-1(XBP-1)は, 免疫グロブリン分泌や形質細胞の発生に不可欠とされている転写因子である. 最近では, estrogen receptorα(ERα)と連動して発現が上昇するとされ, 乳癌のホルモン依存性や発癌にかかわっている可能性がある. また, 小胞体ストレスに関係する転写因子でもあり, apoptosis関連遺伝子のcaspase発現に関係しているとされている. 今回われわれは, 乳癌におけるXBP-1の発現を, ヒト乳癌培養細胞株, 切除乳腺組織を用いて検討した. 方法:ヒト乳癌培養細胞株5種類および乳癌切除11例の癌部および非癌部の新鮮凍結検体を用い, RT-PCR法にてXBP-1発現を検索した. また, ホルマリン固定標本で免疫組織化学染色を行い, その発現部位についても検討した. 結果:ヒト乳癌培養細胞株では, 5種類全てにRT-PCRにてXBP-1の高度発現を認めた. 乳癌切除例では, 癌部でXBP-1の高度発現がみられたが, 非癌部ではみられなかった. また免疫組織化学染色でも同様であり, その発現部位は細胞質であった. 結論:転写因子XBP-1の発現は, 乳癌で高度に認められるが, 正常乳管上皮ではみられなかった. その発現プロフィールは, 浸潤性乳管癌でも非浸潤性乳管癌でも同様であり, XBP-1は乳癌の発癌に早い段階で関わっている可能性が示唆された.
ISSN:1345-4676