水中毒から横紋筋融解症を併発した1例

はじめに:心因性多飲症による水中毒は精神疾患患者に多く, 低Na血症の補正のため水制限が行われる. 一方, 横紋筋融解症は薬剤, 熱中症, 外傷などが原因となり高ミオグロビン血症をきたし, 急性腎不全に陥ることもある病態であり, 治療として十分な補液を行い利尿をつけることが重要である. 今回, 水中毒に横紋筋融解症を併発した1例を経験したので報告する. 症例:34歳, 男性. 既往に精神発達遅滞があり福祉施設に入所中であった. 水を多量に飲んだ後意識レベル低下し, 救急搬送となった. 来院時, JCS=200, 痙攣発作あり. 代謝性アシドーシスと高CK血症認め, Naは118と低値であった....

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Hauptverfasser: 北橋章子, 久野将宗, 直江康孝, 堀田佳宏, 石井康博, 高橋潤子, 原俊輔, 小柳正雄, 中野渡雄一, 玉井英世, 弥富俊太郎, 加地正人, 畝本恭子, 二宮宣文
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:心因性多飲症による水中毒は精神疾患患者に多く, 低Na血症の補正のため水制限が行われる. 一方, 横紋筋融解症は薬剤, 熱中症, 外傷などが原因となり高ミオグロビン血症をきたし, 急性腎不全に陥ることもある病態であり, 治療として十分な補液を行い利尿をつけることが重要である. 今回, 水中毒に横紋筋融解症を併発した1例を経験したので報告する. 症例:34歳, 男性. 既往に精神発達遅滞があり福祉施設に入所中であった. 水を多量に飲んだ後意識レベル低下し, 救急搬送となった. 来院時, JCS=200, 痙攣発作あり. 代謝性アシドーシスと高CK血症認め, Naは118と低値であった. 水中毒の治療のため軽度の水制限行い, 代謝性アシドーシス, 高CK血症の治療として炭酸水素Na, D‐マンニトールの投与を行ったが, X-pで肺うっ血像が出現し低Na血症も補正されないためNa負荷, CHDF施行したところ肺うっ血, 低Na血症は改善し, 重篤な腎不全に到ることなくCKも低下した. 結語:水中毒に横紋筋融解症を合併する報告はあるが, 病態生理について定説はない. 治療にあたって水制限と水負荷というジレンマを生じたが, 血液浄化を用いることにより, 急性腎不全を回避し重篤な合併症を起こすことなく改善を得た. このような症例において, 血液浄化は効果的な治療であると考えられる.
ISSN:1345-4676