潰瘍性大腸炎に併発した抗リン脂質抗体症候群による腎障害の1例

症例は68歳男性. 潰瘍性大腸炎(UC)に対し, 他院にてsalazosulfapyridineが処方されていた. 尿蛋白, 尿潜血は10年前ごろより指摘されていたが, 軽度であり放置. 1年前よりCreの軽度上昇をみとめ, 当科紹介入院. 1日尿蛋白は3. 3g~6. 3g. Cre1. 62mg/dl, IgA567mg/dl, 抗カルジオリピンIgG抗体33U/ml, 抗CL-β2GPI複合体8. 8U/m, 抗核抗体160倍と上昇していた. 抗Sm抗体, 血清補体価, 抗DNA抗体は正常. 便潜血は陰性で, 下部消化管内視鏡においてもUCの活動性は認めなかった. 腎生検ではメサンギウム...

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Hauptverfasser: 岸雄一郎, 金子朋広, 飯野靖彦, 片山泰朗, 北村博司, 杉崎祐一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は68歳男性. 潰瘍性大腸炎(UC)に対し, 他院にてsalazosulfapyridineが処方されていた. 尿蛋白, 尿潜血は10年前ごろより指摘されていたが, 軽度であり放置. 1年前よりCreの軽度上昇をみとめ, 当科紹介入院. 1日尿蛋白は3. 3g~6. 3g. Cre1. 62mg/dl, IgA567mg/dl, 抗カルジオリピンIgG抗体33U/ml, 抗CL-β2GPI複合体8. 8U/m, 抗核抗体160倍と上昇していた. 抗Sm抗体, 血清補体価, 抗DNA抗体は正常. 便潜血は陰性で, 下部消化管内視鏡においてもUCの活動性は認めなかった. 腎生検ではメサンギウム細胞の増生は軽度であったが, GBMの二重化を伴う内皮下腔の開大が広範にみられ, また一部動脈に血栓を認めた. microangiopathicな内皮細胞障害が目立つ所見であり, 抗リン脂質抗体症候群(APS)の関与が強く疑われた. UCに併発したAPSによる腎障害の報告は非常にまれであり, 経過および文献的考察を含め報告する.
ISSN:1345-4676