慢性腎不全に合併した後天性血友病Aの1症例

症例:59歳男性 主訴:歯肉出血 硝子体出血 全身倦怠感 現病歴:2002年8月15日, 突然の歯肉出血, 両硝子体出血による視力低下で発症し前医入院. 出血傾向とともに腎不全の悪化を認め, 内シャント造設術施行するも, 術後創部からの出血が止まらず, 出血傾向精査加療目的にて9月24日, 当院へ転院となった. 経過:出血時間, PTは正常であるがAPTT95秒と著明に延長しており, 第VIII因子活性<1%, 第VIII因子インヒビター38BUの所見より後天性血友病と診断し, PSL40mg内服を開始. 同時に糖尿病性腎症による慢性腎不全のため, 週2回の血液透析を継続した. PSL内服開始...

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Hauptverfasser: 飯塚美穂, 齋藤サビーネ 京子, 野村浩一, 岸雄一郎, 高田大輔, 金子朋広, 内海甲一, 飯野靖彦, 片山泰朗
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:59歳男性 主訴:歯肉出血 硝子体出血 全身倦怠感 現病歴:2002年8月15日, 突然の歯肉出血, 両硝子体出血による視力低下で発症し前医入院. 出血傾向とともに腎不全の悪化を認め, 内シャント造設術施行するも, 術後創部からの出血が止まらず, 出血傾向精査加療目的にて9月24日, 当院へ転院となった. 経過:出血時間, PTは正常であるがAPTT95秒と著明に延長しており, 第VIII因子活性<1%, 第VIII因子インヒビター38BUの所見より後天性血友病と診断し, PSL40mg内服を開始. 同時に糖尿病性腎症による慢性腎不全のため, 週2回の血液透析を継続した. PSL内服開始2週間後にも凝固検査上改善を認めなかったため, 血漿交換を2回施行した. 治療不応性であり, 筋肉内出血が遷延していた右下腿に横紋筋融解症を発症し, 高カリウム血症のコントロールがつかず死亡した. 考察:本例では, 診断がつき治療を開始したのが発症45日であった. 本疾患では, 時間の経過により, 合併症による死亡率は高くなることが報告されている. 出血傾向を認め, 凝固検査にて, APTTの延長が認められる時には, 第VIII因子インヒビターの存在を考慮し, 治療を先行させる必要もあると考えられる. 結論:出血傾向を認める透析患者に対しては, 内因性の凝固障害を疑い, APTT, さらには第VIII因子インヒビターの測定を考慮する必要がある.
ISSN:1345-4676