著明な炎症を伴った卵巣チョコレート嚢胞の1症例
子宮内膜症は月経困難を主訴とすることが多いが, 今回われわれは月経困難を伴わず発熱を主訴とし, 卵巣チョコレート嚢胞の感染を疑った症例を経験したので報告する. 症例は, 30歳, 未婚, 未経妊. 平成15年5月12日より39℃の発熱があり, 近医を受診. 卵巣腫瘍を指摘され, 5月24日当科紹介入院となった. 経膣超音波, 骨盤CTにて両側の卵巣チョコレート嚢胞と思われる腫瘍を認めた. 血液生化学検査にて, WBC12, 300/μl, CRP24. 33mg/dlと強度の炎症所見を認め, チョコレート嚢胞の感染, 子宮付属器炎, または腎盂腎炎を考え抗生剤投与を行うも軽快しなかった. 一方...
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 子宮内膜症は月経困難を主訴とすることが多いが, 今回われわれは月経困難を伴わず発熱を主訴とし, 卵巣チョコレート嚢胞の感染を疑った症例を経験したので報告する. 症例は, 30歳, 未婚, 未経妊. 平成15年5月12日より39℃の発熱があり, 近医を受診. 卵巣腫瘍を指摘され, 5月24日当科紹介入院となった. 経膣超音波, 骨盤CTにて両側の卵巣チョコレート嚢胞と思われる腫瘍を認めた. 血液生化学検査にて, WBC12, 300/μl, CRP24. 33mg/dlと強度の炎症所見を認め, チョコレート嚢胞の感染, 子宮付属器炎, または腎盂腎炎を考え抗生剤投与を行うも軽快しなかった. 一方, Hbが入院時9. 5g/dlから4日目に7. 9g/dlまで低下しており, 腫瘍内出血および卵巣悪性腫瘍も否定できず, 入院6日目開腹手術を施行した. 左卵巣が新生児頭大, 右卵巣が鷲卵大に腫大しており, 双方とも子宮後壁と強固に癒着していた. 右卵巣嚢胞は単房性, 左卵巣嚢胞は多房性であったが, 明らかな充実性部分は無く, 迅速病理診断でチョコレート嚢胞の結果を得たため, 嚢腫核出術および癒着剥離術を施行した. 術後速やかに解熱し, 経過良好にて11日目にて退院した. 病理組織検査では, 両側共に子宮内膜症性嚢胞であった. また, 嚢胞内容物の細菌培養は陰性であった. 卵巣チョコレート嚢胞は著明な炎症症状で発症することもあるとされており, 今回若干の文献的考察を加え, その取り扱いにつき考察する. |
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ISSN: | 1345-4676 |