腫瘍内出血にて脳ヘルニアを起こし緊急手術を要した多形黄色星状細胞腫の1例

緒言:pleomorphic xantho astrocytoma(PXA)は多核や異様な巨細胞を含む多彩な病理組織像を呈するが予後の比較的良好なastrocyte由来の稀な腫瘍である. 今回我々は腫瘍性出血により脳ヘルニアを来し, 緊急手術を行ったPXAの1例を経験したので報告する. 症例:61歳女性 主訴:意識障害, 右上肢の痙攣発作 現病歴:35歳頃より精神抑鬱状態となり, 同時に神経科で抗鬱剤を処方されていたが, 改善は見られなかった. 平成12年5月に脳ドックを受けその際のMRIでは異常所見なし. 平成14年12月25日意識障害と右上肢に限局したtonic clonic convul...

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Hauptverfasser: 小菊実, 林靖人, 吉田大蔵, 高橋弘, 寺本明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言:pleomorphic xantho astrocytoma(PXA)は多核や異様な巨細胞を含む多彩な病理組織像を呈するが予後の比較的良好なastrocyte由来の稀な腫瘍である. 今回我々は腫瘍性出血により脳ヘルニアを来し, 緊急手術を行ったPXAの1例を経験したので報告する. 症例:61歳女性 主訴:意識障害, 右上肢の痙攣発作 現病歴:35歳頃より精神抑鬱状態となり, 同時に神経科で抗鬱剤を処方されていたが, 改善は見られなかった. 平成12年5月に脳ドックを受けその際のMRIでは異常所見なし. 平成14年12月25日意識障害と右上肢に限局したtonic clonic convulsionをおこし激しい頭痛を訴えていたのを家人が発見し緊急入院となった. 入院時所見:意識レベル:JCS-2, 上肢に強い右半身の軽度不全麻庫が見られた. 頭部CTで径が6cmにおよぶ境界明瞭な周囲に浮腫を伴う腫瘍性病変とその中に出血巣を認め, 脳ヘルニアをおこしていた. MRIでは壁在結節を伴うのう胞を認め, のう胞に血腫が充満していたが境界明瞭で結節は造影効果が著明であった. 経過:入院翌々日に開頭腫瘍摘出術施行. 術中所見では, 腫瘍には被膜が存在し, 易出血性であった. 術後経過良好で独歩自宅退院した. 考察:肉眼的な腫瘍性出血をおこしたPXAは報告を渉猟する限り, Levyらの一例のみであった. 入院時所見では出血を伴った腫瘍ではあったが, 画像をよく検討するとこの稀な腫瘍の生物学的特徴をよく表していた.
ISSN:1345-4676