P-59)まぐろ漁に使用される大型の釣り針による刺創の1例
今回われわれはまぐろ漁に使用する大型の釣り針による刺創を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例:32歳中国人男性. まぐろ漁船にて操業中, はえ縄漁に使用する釣り針を左手尺側より誤って刺入した. 釣り針は長径9cm重さ15gと大型で, 自ら手掌をカッターナイフで切開し抜去を試みるも断念し救急要請した. 海上自衛隊を経由し事故発生後2日目に当院搬送された. 釣り針の左手小指球尺側より約4cmの刺入, 左手遠位手掌線と中手掌線の中間に約4cmの切開線を認め, 左第IV指尺側V指の痺れを訴えていた. 釣り針の先端は皮下に埋没しており肉眼では確認できなかった. 手術は自ら切開した創に合わせ...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 2002, Vol.69 (6), p.652-652 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回われわれはまぐろ漁に使用する大型の釣り針による刺創を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例:32歳中国人男性. まぐろ漁船にて操業中, はえ縄漁に使用する釣り針を左手尺側より誤って刺入した. 釣り針は長径9cm重さ15gと大型で, 自ら手掌をカッターナイフで切開し抜去を試みるも断念し救急要請した. 海上自衛隊を経由し事故発生後2日目に当院搬送された. 釣り針の左手小指球尺側より約4cmの刺入, 左手遠位手掌線と中手掌線の中間に約4cmの切開線を認め, 左第IV指尺側V指の痺れを訴えていた. 釣り針の先端は皮下に埋没しており肉眼では確認できなかった. 手術は自ら切開した創に合わせて切開を行い, 尺骨神経とこれに接する針先端を確認した. 尺骨神経を剥離した後, 釣り針の先端を慎重に尺側神経より隔離し釣り針を中央より切断, 刺入方向と順方向に抜去した. 手指の運動障害, しびれの増強及び感染徴候を認めず, 術後5日目で中国へ帰国した. 我々が日常診療で経験する釣り針による刺創は針自体が小型軽量の為, 針先は皮膚または皮下を損傷するだけのことが多く, 一旦針先を貫通させてから針を切断し抜去する方法が取られる. 深部まで到達する大型の針においては二次的損傷を防ぐために針先湾曲かえしの形態を確認し, 抜去方向針の切断部位を十分に検討し, さらに設備の整った手術室で針の抜去を試みることが必要である. |
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ISSN: | 1345-4676 |