P-27)孤立性潰瘍発症後に隆起性病変を併発し2型直腸癌との鑑別を要した直腸粘膜脱症候群の1例

緒言:直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome of the rectum:以下, MPS)は直腸に好発する比較的まれな疾患で, その形態は単発性の潰瘍から多発性潰瘍のこともあり, また, 隆起性病変を呈することもあって, ときに, 直腸癌との鑑別を要す. 今回, 孤立性潰瘍にて発症し, 数年後に隆起性病変を形成して, 最終的にstrip biopsyにて2型直腸癌と鑑別しえたMPSの1例を経験したので報告する. 症例:患者は40歳の男性で, 約4年前(36歳時)の内視鏡検査で直腸(Rb)に孤立性の潰瘍を指摘された. 今同の再検査にて, 前回の潰瘍周囲に隆起性病変の...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2002, Vol.69 (6), p.643-643
Hauptverfasser: 松田健, 坂東功一, 廣瀬洋一郎, 秋谷行宏, 沖濱裕司, 田尻孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:緒言:直腸粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome of the rectum:以下, MPS)は直腸に好発する比較的まれな疾患で, その形態は単発性の潰瘍から多発性潰瘍のこともあり, また, 隆起性病変を呈することもあって, ときに, 直腸癌との鑑別を要す. 今回, 孤立性潰瘍にて発症し, 数年後に隆起性病変を形成して, 最終的にstrip biopsyにて2型直腸癌と鑑別しえたMPSの1例を経験したので報告する. 症例:患者は40歳の男性で, 約4年前(36歳時)の内視鏡検査で直腸(Rb)に孤立性の潰瘍を指摘された. 今同の再検査にて, 前回の潰瘍周囲に隆起性病変の形成を認め, 2型直腸癌との鑑別が困難であった. 内視鏡検査時に隆起性病変部を中心にstrip biopsyで大切片を採取し, 病理組織検査を行った. 同切除標本内に腫瘍性異型は認められず, 粘膜固有層から間質に軽度の炎症性細胞浸潤と, 所々に平滑筋や線維組織の増生(fibromuscular obliteration)がみられた. なお, 患者は1日数回の排便習慣を有し, 1回の排便時間は長い傾向があった. 以上の所見からMPSと診断した. 現在, 患者は排便習慣の是正を含めて外来にて経過観察中である. 考察:MPSは, 1983年にBoulayらにより提唱された疾患概念で, おもに直腸粘膜に対する排便時の機械的刺激が病因と考えられている. 本症例のように直腸癌との鑑別診断が問題となることが多く, 常に本疾患の存在を念頭に置くことが肝要である.
ISSN:1345-4676