新しいmatrix metalloproteinase活性測定法

悪性脳腫瘍の治療について, どうしても考えねばならないのは腫瘍細胞の侵潤です. 悪性細胞の性質として一つの腫瘍塊として成長するとともに, 周囲の正常な脳組織に入り込み衛星のような病巣を増やすので, 肉眼的に手術上全摘出しえたとしても, 正常脳組織に潜り込んだ衛星のような病変からある時期がくれば再発をおこすのが常です. 術後の科学療法や放射線療法は残存した腫瘍のみならず, 正常脳組織に侵潤した腫瘍細胞への効果を期待して行うわけで, 放射線はもとの腫瘍の範囲より広汎に照射せざるを得ません. 近年提唱されている遺伝子療法といえども, 局所投与するにあたり, 正常の脳組織にほとんど入っていかないのが現...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2002, Vol.69(2), pp.211-211
Hauptverfasser: 吉田, 大蔵, 高橋, 弘, 寺本, 明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:悪性脳腫瘍の治療について, どうしても考えねばならないのは腫瘍細胞の侵潤です. 悪性細胞の性質として一つの腫瘍塊として成長するとともに, 周囲の正常な脳組織に入り込み衛星のような病巣を増やすので, 肉眼的に手術上全摘出しえたとしても, 正常脳組織に潜り込んだ衛星のような病変からある時期がくれば再発をおこすのが常です. 術後の科学療法や放射線療法は残存した腫瘍のみならず, 正常脳組織に侵潤した腫瘍細胞への効果を期待して行うわけで, 放射線はもとの腫瘍の範囲より広汎に照射せざるを得ません. 近年提唱されている遺伝子療法といえども, 局所投与するにあたり, 正常の脳組織にほとんど入っていかないのが現状であって, この腫瘍の細胞侵潤の存在というものが, 悪性脳腫瘍の治療の限界といってもよいでしょうし, 脳というものが, その器官の性格上広範囲摘出出来ない以上なんらかの手段で細胞侵潤の制御なくしては悪性脳腫瘍の治療は考えられません. 腫瘍細胞の侵潤のステップとしては, 1)細胞の遊走および正常組織への接着, 2)matrix metalloproteinase(MMP)を介した正常組織の融解, 3)正常組織内への遊走および衛星病変での細胞の増加という段階によることが, 多数報告されています. この3つのステップのなかで, 我々はMMPにターゲットをあてて, この酵素活性を抑制すれば細胞の侵潤を抑制できうることを報告してまいりました.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.69.211