ピタゴラスの定理をめぐって

直角三角形において, 斜辺の長さをa, 直角を挟む二辺の長さをb, cとすると, ピタゴラスの定理:a2=b2+c2が成立します. 小学校の算術を卒業して, 中学校の数学で証明に最初に出会う懐かしい定理であります. 半世紀前に文京区立第六中学校の萩原先生が希望者に正規授業外で開いた数学特別講義が想い出されます. このピタゴラスの定理を別な角度から見直します. x, yと言うベクトルを考える. 更に, xの実数a倍であるaxをyから引き算し, 第三のベクトルz(a)=y-axを導入する. 当然, これらの三つのベクトルy, ax, z(a)は三角形を構成する. 二つのベクトルx, yは固定し,...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2002, Vol.69 (2), p.90-96
1. Verfasser: 三宅章彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:直角三角形において, 斜辺の長さをa, 直角を挟む二辺の長さをb, cとすると, ピタゴラスの定理:a2=b2+c2が成立します. 小学校の算術を卒業して, 中学校の数学で証明に最初に出会う懐かしい定理であります. 半世紀前に文京区立第六中学校の萩原先生が希望者に正規授業外で開いた数学特別講義が想い出されます. このピタゴラスの定理を別な角度から見直します. x, yと言うベクトルを考える. 更に, xの実数a倍であるaxをyから引き算し, 第三のベクトルz(a)=y-axを導入する. 当然, これらの三つのベクトルy, ax, z(a)は三角形を構成する. 二つのベクトルx, yは固定し, 実数aを変化させて, z(a)を最も短くする事を考える. 図を描けば直ぐ判りますが, z(a)が最短になるのはax, z(a)が直交する時である. 三つのベクトルは直角三角形を構成するので, それらの長さを||y||, ||ax||, ||z(a)||で表すと, 次の様にピタゴラスの定理が成立する. ||y||2=||ax||2+||z(a)||2 上の話は二つのベクトルx, yで決定される平面上(二次元ベクトル空間)で考えてます. 平面を三次元空間に広げ, 一個のベクトルxの代わりに二個のベクトルx1, x2, を考えます. x1, x2の一次結合a1x1+a2x2をyから引いて第三のベクトルz(a1, a2)=y-(a1x1+a2x2)を導入する, これが最も短くなるのはa1x1+a2x2, z(a1, a2)が直交する時であり, 次の様にピタゴラスの定理が成立する. ||y||2=||a1x1+a2x2||2+||z(a1, a2)||2 この事実は, 2個のベクトルx, , x, で決定される平面上にベクトルyの先端から垂線を降ろす事により直感的に理解が出来る. この様にしてyから導かれる所の一次結合a1X1+a2x2をyの正射影と呼びます. 平面に垂直に光を当てた時のyの影と言う意味であります.
ISSN:1345-4676