内臓真菌症の現況
難治性疾患に対する治療法の開発と人口の高齢化につれて, いわゆる日和見感染症の増加が最近話題になっている. その一つに内臓真菌症があり, かつては生前診断がつきにくく剖検時に発見されることも多かった. この内臓真菌症の現況について病理学と臨床の分野から永年研究を続けて来られた北里大学医学部の久米光先性にお話を伺う機会を得た. 御講演は1. 疫学的立場からみた現状とその特徴, (日本病理剖検輯報) 2. 診断の現状とその評価, 3. 治療薬の特徴と治療法, 4. 内臓真菌症対策に対する新たなる展開 の四点で構成されており, まず, 剖検例の最新の集計からは内臓カンジダ症の減少と, 内臓アスペルギ...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 2002, Vol.69 (1), p.81-81 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 難治性疾患に対する治療法の開発と人口の高齢化につれて, いわゆる日和見感染症の増加が最近話題になっている. その一つに内臓真菌症があり, かつては生前診断がつきにくく剖検時に発見されることも多かった. この内臓真菌症の現況について病理学と臨床の分野から永年研究を続けて来られた北里大学医学部の久米光先性にお話を伺う機会を得た. 御講演は1. 疫学的立場からみた現状とその特徴, (日本病理剖検輯報) 2. 診断の現状とその評価, 3. 治療薬の特徴と治療法, 4. 内臓真菌症対策に対する新たなる展開 の四点で構成されており, まず, 剖検例の最新の集計からは内臓カンジダ症の減少と, 内臓アスペルギルス症の増加が最近の傾向である. これは一つにはカンジダ症の診断技術の進歩と有効な抗真菌剤の開発により軽症例が治療可能となったことが主因である. アスペルギルス症はaspergilloma(fungus ball)以外は画像診断しにくく, これもアスペルギルス症の増加の一因である. 診断に関しては真菌抗原抗真菌抗体に対する血清診断が開発されてきているが, これらの感度と特異性には未だ門題があり, カットオフポイント(基準値)の設定には注意する必要がある. 治療面ではアゾール系抗真菌剤の登場により治療成績が向上したが, アンフォテリシンBも捨てがたい効果があり, 副作用を軽減するための投与方法の工夫がいろいろなされている. 内臓真菌症は今後も増加する疾患と思われる. 集学的な治療をめざしてインターネット上にフォーラムが立ち上げられた. 最新の情報が得られるので興味がある方は閲覧して欲しい. |
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ISSN: | 1345-4676 |