13.ケロイドおよび肥厚性瘢痕におけるp53遺伝子多型性の分析
[目的]我々は現在まで, ケロイドおよび肥厚性瘢痕の病因の根幹に, 細胞増殖制御異常の問題が関わっているのではないかと考え, p53遺伝子に注目し研究を行ってきた. 今回, p53の多型性とこれらの疾患の発生しやすさとの間の関連性について, 検討した結果を報告する. [材料, 方法]手術標本由来のケロイド49例, 肥厚性綾痕30例の組織から抽出したDNAを材料として用いた. PCR法により増幅したp53exon-4領域部について, 制限酵素(Mvn-1, BstU1)処理後, 電気泳動法にて制限酵素断片鎖長の多型(RFLP)を解析し, X2-検定を行った. controlには既報の正常日本人の...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 2001, Vol.68 (1), p.85-85 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [目的]我々は現在まで, ケロイドおよび肥厚性瘢痕の病因の根幹に, 細胞増殖制御異常の問題が関わっているのではないかと考え, p53遺伝子に注目し研究を行ってきた. 今回, p53の多型性とこれらの疾患の発生しやすさとの間の関連性について, 検討した結果を報告する. [材料, 方法]手術標本由来のケロイド49例, 肥厚性綾痕30例の組織から抽出したDNAを材料として用いた. PCR法により増幅したp53exon-4領域部について, 制限酵素(Mvn-1, BstU1)処理後, 電気泳動法にて制限酵素断片鎖長の多型(RFLP)を解析し, X2-検定を行った. controlには既報の正常日本人の多型性分布値を用いた. [結果, 考察]正常人のp53遺伝子のexon4領域(codon72)にはCGC/CGC(Arg/Arg), CGC/CCC(Arg/Pro), CCC/CCC(Pro/Pro)の3型がある. ケロイドとcontrolの間には有意差は認められなかったが, 肥厚性瘢痕とcontrolの間には多型性分布に有意差を認めた. また, ピアスによる耳ケロイドにはcontrolに比べ, 有意に高いArg配列の存在を認めた. これらの結果, p53codon72部位にCGC/CGC(Arg/Arg)配列を持つヒトでは耳のケロイドの発症のリスクがより高くなり, CCC/CCC(Pro/Pro)配列を持つヒトでは肥厚性瘢痕の発症リスクが高くなることが示唆された. 今後, p53codon72部位の多型性とこれらの疾患の発症との間に直接的な関連があるか, 他の因子との組み合わせにより間接的に発症のリスクが高まるのかにつき, さらに検討する必要がある. (中華人民共和国:協和医科大学付属形成外科病院) |
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ISSN: | 1345-4676 |