P-40)Helicobacter pylori陰性例における萎縮,腸上皮化生の観察

はじめに:Helicobacter pylori(Hp)陰性例の萎縮性胃炎, 腸上皮化生を観察し, Hp陽性例のそれらとの相違を観察した. 対象と方法:年齢, 性別をマッチさせて得られたHp陽性例, 陰性例(各々369例)を用いた. 感染の診断は3点生検法を含めた従来の方法に従った. 成績:1)Hp陽性例では内視鏡的萎縮が36.5%にみられたのに対し, 陰性例では17.6%であった. 2)Hp陰性例の年齢と内視鏡的胃粘膜性状スコアの間には, 陽性例と同様に正の相関がみられ, 陰性例も加齢に伴い段階的に萎縮が進行することが示された. 3)Hp陰性例の生検切片3番(胃体下部小彎側)の腸上皮化生スコ...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2000, Vol.67 (6), p.523-524
Hauptverfasser: 松久威史, 羽山享宏, 芳村昇治, 山田宣孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:Helicobacter pylori(Hp)陰性例の萎縮性胃炎, 腸上皮化生を観察し, Hp陽性例のそれらとの相違を観察した. 対象と方法:年齢, 性別をマッチさせて得られたHp陽性例, 陰性例(各々369例)を用いた. 感染の診断は3点生検法を含めた従来の方法に従った. 成績:1)Hp陽性例では内視鏡的萎縮が36.5%にみられたのに対し, 陰性例では17.6%であった. 2)Hp陰性例の年齢と内視鏡的胃粘膜性状スコアの間には, 陽性例と同様に正の相関がみられ, 陰性例も加齢に伴い段階的に萎縮が進行することが示された. 3)Hp陰性例の生検切片3番(胃体下部小彎側)の腸上皮化生スコアは, 陽性例と同様に年齢との間に正の相関を示し, 軽度から高度の腸上皮化生が各年齢層に均等に分布していた. Hp陽性例との違いは腸上皮化生の出現し始める時期が陽性例よりも約10年遅い点である. 4)何れの生検部位においても, Hp陽性例に比し陰性例で腺萎縮のみられる症例の頻度が有意に低かった. 腸上皮化生例の頻度も切片2番(胃体上部大彎側)を除き陽性例で高かった. Hp陽性例では各3点生検切片の腺萎縮, 腸上皮化生率は近似しているが, 陰性例では腺萎縮率よりも腸上皮化生率が高く, 腸上皮化生が萎縮に先行する症例のあることを示す成績といえる. 5)Hp陽性例ではHp持続感染による萎縮の進展を反映し, 血清ペプシノゲン(PG)I/II比と年齢, PGI/II比と背景胃粘膜の間に負の相関を認めたが, 陰性例ではこのような傾向はみられなかった.
ISSN:1345-4676