6.腹腔・鎖骨下静脈シャント術が奏効した難治性腹水の1例

内科的治療に抵抗する難治性腹水に対して, 従来より腹水濃縮再静注あるいはLe Veen shuntなど持続的静脈内灌流法が用いられてきた. ただし, 前者はquality of life(QOL)の維持が困難であり, 後者はシャント閉塞などの合併症のために本邦ではあまり普及していない. 今回, われわれは肝硬変に伴う難治性腹水に対し腹腔鎖骨下静脈シャント(Denver, peritoneovenous shunt)が奏効した1例を経験したので報告する. 症例:患者は77歳, 女性で, 胃潰瘍のため胃切除術の既往があり, 5年前より他院にて肝硬変(C型)および肝性脳症の治療を続けていた. 今回,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 2000, Vol.67 (4), p.291-291
Hauptverfasser: 沖浜裕司, 松田健, 松谷毅, 土屋喜一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:内科的治療に抵抗する難治性腹水に対して, 従来より腹水濃縮再静注あるいはLe Veen shuntなど持続的静脈内灌流法が用いられてきた. ただし, 前者はquality of life(QOL)の維持が困難であり, 後者はシャント閉塞などの合併症のために本邦ではあまり普及していない. 今回, われわれは肝硬変に伴う難治性腹水に対し腹腔鎖骨下静脈シャント(Denver, peritoneovenous shunt)が奏効した1例を経験したので報告する. 症例:患者は77歳, 女性で, 胃潰瘍のため胃切除術の既往があり, 5年前より他院にて肝硬変(C型)および肝性脳症の治療を続けていた. 今回, 紹介により当科に転院となった. 患者は大量の腹水貯溜により体動困難で, 横隔膜挙上のための呼吸苦もみられた. 低蛋白(低アルブミン)血症も高度で, 腹水は利尿剤投与によるコントロールに抵抗し治療に難渋していた. 保存的治療を限界と判断し, 患者のQOLの改善のために, 局麻下でDenver Ascites Shunt System(Percutaneous Access Kit)を用いて腹腔内と右鎖骨下静脈間にシャントを作成した. ポンプチェンバーとカテーテルは右側胸部の皮下トンネルに留置した. 本シャント術の効果は著明で, 腹水はCTおよびEcho検査上もほぼ消失している. 結語:本法は難治性腹水に有効で, 肝硬変患者などの長期QOLの向上に有用であると考えられる.
ISSN:1345-4676