P-158)OHSSに腹水濾過濃縮再静注法を試みた1例

不妊症治療における排卵誘発使用の普及により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症はまれではない. 今回, われわれは腹水, 胸水の増加が急速で通常の管理に抵抗し重篤となったOHSSに対し, 腹水濾過濃縮再静注法を施行し劇的な改善をみた症例を経験したので報告する. 症例:M. T. 28歳, 0-0-1-0. 近医にてLH-RH agonist, hMG, hCG療法により排卵誘発を受けた. hCG投与後卵巣の腫大と腹水の著明な貯留を認めたため当科へ紹介された. 入院時血中エストラジオール5,740pg/ml, プロゲステロン261.1ng/mlと非常な高値で, 上腹部におよぶ大量の腹水と右胸水を...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.577-577
Hauptverfasser: 里見操緒, 高橋肇, 品川志野, 岩崎卓爾, 若月雅美, 鴨井青龍, 河村尭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:不妊症治療における排卵誘発使用の普及により卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症はまれではない. 今回, われわれは腹水, 胸水の増加が急速で通常の管理に抵抗し重篤となったOHSSに対し, 腹水濾過濃縮再静注法を施行し劇的な改善をみた症例を経験したので報告する. 症例:M. T. 28歳, 0-0-1-0. 近医にてLH-RH agonist, hMG, hCG療法により排卵誘発を受けた. hCG投与後卵巣の腫大と腹水の著明な貯留を認めたため当科へ紹介された. 入院時血中エストラジオール5,740pg/ml, プロゲステロン261.1ng/mlと非常な高値で, 上腹部におよぶ大量の腹水と右胸水を認め, 血液濃縮と乏尿を呈していた. アルブミンを投与して血液希釈したのち利尿剤や低値ドーパミンを投与する治療をくり返したが腹水の増加は著明であった. 呼吸苦が増悪しPaO2の低下をみたため胸部への圧迫を軽減するためやむを得ず腹水1,180mlを穿刺排液した. 一時呼吸苦は軽快したが低アルブミン血症が進行し腹水が速やかに再増加し, かえって重篤となった. 通常の管理では限界であると判断し, 腹水濾過濃縮再静注法を施行した. 2回の腹水濾過濃縮再静注により胸水は消失し, 腹水も急速に減少し全身状態は劇的に改善し, 以後の再発もなかった. 2回の治療により計9,400mlの腹水を計1,870mlほどに濾過濃縮し再静注した.
ISSN:1345-4676