P-123)胸腹部の多臓器損傷により出血性ショックに陥った背部刺創の1例
刺創が小さいにも関わらず多臓器に損傷がおよび出血性ショックに陥った症例を経験したので報告する. 症例は39歳男性. 刺し身包丁で左背部, 右上腕, 左眼部を刺され近医に搬送されたが, 血圧が70mmHgとショック状態のため輸液のみ施行し当院へ転送. 初診時, 左背部第9肋骨上に幅約4cmの刺創と左眼瞼から眼球にかけ刺創を認めた. 意識は清明で血圧120/60mmHg, 心拍数120/分, 呼吸数28/分. 左大量血胸の診断で緊急手術施行. 左第6肋間開胸を行うと, 胸腔内に凝血塊を含む約3, 000mlの血液が貯留し, 左肺下葉S9-10に約10cmのIIb型損傷を認め, 肺部分切除術施行した...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.567-567 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 刺創が小さいにも関わらず多臓器に損傷がおよび出血性ショックに陥った症例を経験したので報告する. 症例は39歳男性. 刺し身包丁で左背部, 右上腕, 左眼部を刺され近医に搬送されたが, 血圧が70mmHgとショック状態のため輸液のみ施行し当院へ転送. 初診時, 左背部第9肋骨上に幅約4cmの刺創と左眼瞼から眼球にかけ刺創を認めた. 意識は清明で血圧120/60mmHg, 心拍数120/分, 呼吸数28/分. 左大量血胸の診断で緊急手術施行. 左第6肋間開胸を行うと, 胸腔内に凝血塊を含む約3, 000mlの血液が貯留し, 左肺下葉S9-10に約10cmのIIb型損傷を認め, 肺部分切除術施行した. また, 左横隔膜中央に約10cmの損傷と肝左葉外側区域に約4cmのII型損傷を認め, 肝損傷部からの出血が持続していたため, 経横隔膜的に肝部分切除を行った. 胃, 大網および脾を検索したのち横隔膜を縫合閉鎖し, 左胸腔内ヘドレーン挿入の後, 閉胸し, 眼球縫合を行い手術を終了した. 術後一旦は循環が安定していたが, 3時間後に収縮期血圧70mmHgとなり, ドレーンよりの出血が300ml/時に増量したことから再開胸となり, 肋間動脈結紮術を施行した. その後は順調に経過し軽快退院した. 背部の穿通性損傷では, 創の大小にかかわらず, transdiaphragmatic injuryの可能性を念頭におき, 胸部, 腹部双方の臓器, 組織の損傷を念入りに精査し治療する必要がある. |
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ISSN: | 1345-4676 |