P-93)門脈圧亢進症をともなわない脾静脈瘤(splenic vein aneurysm)の1例
脾静脈の病変では, 門脈圧亢進症に合併した静脈瘤(splenic vein varix)はまれではないが, 脾静脈の嚢状脈瘤(splenic vein aneurysm以下SVA)の報告は極めて少ない. 今回, 我々は健診にて発見された門脈圧亢進症をともなわないSVAを経験したので報告する. 症例:62歳女性. 自覚症状はなく, 近医にて健診時に施行された腹部超音波検査で膵頭部, 体部の境界に径2cm大の嚢胞性病変を指摘された. 精査のため, 腹部の単純, 造影CTが施行され, 先の部分に門脈と同程度の吸収値を呈する類円形の病変を認め, 血管病変であることが示唆された. 脾動脈瘤を疑い, 確定...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.557-557 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脾静脈の病変では, 門脈圧亢進症に合併した静脈瘤(splenic vein varix)はまれではないが, 脾静脈の嚢状脈瘤(splenic vein aneurysm以下SVA)の報告は極めて少ない. 今回, 我々は健診にて発見された門脈圧亢進症をともなわないSVAを経験したので報告する. 症例:62歳女性. 自覚症状はなく, 近医にて健診時に施行された腹部超音波検査で膵頭部, 体部の境界に径2cm大の嚢胞性病変を指摘された. 精査のため, 腹部の単純, 造影CTが施行され, 先の部分に門脈と同程度の吸収値を呈する類円形の病変を認め, 血管病変であることが示唆された. 脾動脈瘤を疑い, 確定診断を目的とした血管造影のため当院放射線科に紹介となった. 腹部血管造影では, まず経上腸管膜動脈的門脈造影を施行したが, 右肝動脈が上腸管膜動脈から分岐している以外に著変を認めず, 側副血行路の形成もみられなかった. 腹腔動脈造影では動脈相で脾動脈に異常を認めなかったが, 静脈相にて脾静脈が上腸管膜静脈と合流する直前にSVAを認め, 門脈圧亢進症を示唆する所見はみられなかった. 脾動脈への選択的造影も施行され, 明瞭なSVAの描出を確認した. 同時にAngioCTを施行し, 3DCTにて脾静脈から頭側に発生した嚢状の脈瘤が確認できた. 確定診断後は経過観察にて現在に至っている. 考察:今回, 脾動静脈の血管性病変では門脈圧亢進症のない症例においても静脈瘤の可能性があることを経験した. |
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ISSN: | 1345-4676 |