P-91)胆石発作様の症状で発症した自己免疫性肝炎(混合型)の1例

症例56歳, 女性. 主訴, 右側腹部痛. 既往に突発性難聴があるが, 輸血歴はない. 現病歴:平成8年12月頃より右背部痛を自覚, 平成9年1月20日右上腹部痛が出現し近医を受診. GOT 127, GPT 162IU/リットルと中等度の上昇を指摘され, 超音波検査などを施行されたが胆石はなかった. 4月14日にはGOT 1,018, GPT 1,274と著明な高値を示し, 当科に紹介された. 入院(4月15日)時, 軽度の右上腹部痛, 皮膚掻痒あり. 黄疸なく, 胸壁皮膚には末梢血管拡張が認められ, 肝を一横指触知した. HBsAg(-), HCV抗体(-), 血小板10.8万/μl, T...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.557-557
Hauptverfasser: 網谷賢一, 寺田秀人, 中村俊彦, 村澤恒男, 原文男, 荒牧琢己
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例56歳, 女性. 主訴, 右側腹部痛. 既往に突発性難聴があるが, 輸血歴はない. 現病歴:平成8年12月頃より右背部痛を自覚, 平成9年1月20日右上腹部痛が出現し近医を受診. GOT 127, GPT 162IU/リットルと中等度の上昇を指摘され, 超音波検査などを施行されたが胆石はなかった. 4月14日にはGOT 1,018, GPT 1,274と著明な高値を示し, 当科に紹介された. 入院(4月15日)時, 軽度の右上腹部痛, 皮膚掻痒あり. 黄疸なく, 胸壁皮膚には末梢血管拡張が認められ, 肝を一横指触知した. HBsAg(-), HCV抗体(-), 血小板10.8万/μl, T. Bil 2.Omg/dl, LDH589IU/リットル, ALP 389IU/リットル, γ-GTP 183IU/リットル, Alb 3.4g/dl, IgG 2,210, IgA 516, IgM 362mg/dl, 抗DNA抗体80倍, 抗核抗体640倍, 抗ミトコンドリアM2抗体63.4U/mlであった. 肝生検はPBC, Scheuer stage I-II. UDCA600mgを投与開始, トランスアミナーゼ値は約400IU/リットルまで低下したが, その後再び上昇(GOT 638, GPT 637IU/リットル)したのでプレドニン30mgを併用したところ順調に低下し3週間で50前後まで低下した. 入院3ヵ月目, 退院前に再度肝生検を施行, 門脈域の細胞浸潤および線維化の軽減が認められた. 退院後もプレドニン5mgを継続, トランスアミナーゼ値は正常値を持続, 抗ミトコンドリアM2抗体も正常化している. 以上, 胆石様の発症経過をとり, 原発性胆汁性肝硬変に矛盾しない病態を呈した自己免疫性肝炎(混合型)と思われたので報告する.
ISSN:1345-4676