P-70)内視鏡的切除を行った食道顆粒細胞腫の1例

食道に発生した顆粒細胞腫の報告例は近年増加傾向にある. 40, 50歳代の男性に多く, 下部食道に好発するとされている. 悪性例は少ないが, 完全生検の意味もかね内視鏡的切除を行うべきであるとする意見が多く, 内視鏡的切除例も増加している. 当科においても内視鏡的に切除した1例を経験したので報告する. 症例は43歳の男性で, 自覚症状はない. 約1年前より上部食道(歯列より28cm)の隆起性病変(小豆大, 亜有茎性)と胃, 十二指腸潰瘍のため, 経過を観察していた. その際の食道生検では悪性像は認められなかった. 経過観察時の内視鏡検査にて, 食道隆起性病変は表面が白く, 頂部が軽く陥凹し,...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.550-550
Hauptverfasser: 羽山享宏, 日下部史郎, 井上泰夫, 松久威史, 前田昭太郎, 山田宣孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:食道に発生した顆粒細胞腫の報告例は近年増加傾向にある. 40, 50歳代の男性に多く, 下部食道に好発するとされている. 悪性例は少ないが, 完全生検の意味もかね内視鏡的切除を行うべきであるとする意見が多く, 内視鏡的切除例も増加している. 当科においても内視鏡的に切除した1例を経験したので報告する. 症例は43歳の男性で, 自覚症状はない. 約1年前より上部食道(歯列より28cm)の隆起性病変(小豆大, 亜有茎性)と胃, 十二指腸潰瘍のため, 経過を観察していた. その際の食道生検では悪性像は認められなかった. 経過観察時の内視鏡検査にて, 食道隆起性病変は表面が白く, 頂部が軽く陥凹し, 小指頭大に増大していた. 2チャンネル電子スコープ(GIF-2T200)を用いて粘膜下にHSEを局注後, スネアにて7×6mmの病変を切除, 回収した. 隆起性病変の病理組織像は, 粘膜固有層内に腫瘍組織がみられ, 好酸性の細かい顆粒状物質を含む異形性の乏しい細胞群の稠密な増殖により形成されており, 顆粒細胞腫と診断した. 1ヵ月後の経過観察では, 上部食道の病変切除部位には軽い陥凹部分を認めるのみであった. 同部からの生検を行ったが, 顆粒細胞腫の成分はみられなかった. 本症例は病理組織学的に悪性像はなく, 内視鏡に完全切除し得た粘膜固有層由来の食道顆粒細胞腫であった.
ISSN:1345-4676