P-62)脳室腹腔シャント留置患者に認められた胸水貯留:リハビリテーション治療経過中慢性期のまれな合併症

脳室腹腔短絡術(VPS)は, 脳血管障害(CVA)などの亜急性期から慢性期にかけて発症する正常圧水頭症(NPH)の治療法として普及しているが, 幾つかの合併症がある. 特に胸腔内合併症(胸水)はまれであるが, 症状が重篤化するため重要である. VPS後の胸水合併例の多くは, 腹腔側カテーテル(カテ)の胸腔内迷入によるものである. 我々はVPS留置患者のリハビリテーション(リハ)治療経過中, 胸水貯留を認めるも胸腔内迷入所見のない症例を経験したので, 文献的考案を含め報告する. 症例:46歳男性, 26歳時胃潰瘍に対し胃亜全摘術の既往がある. クモ膜下出血後NPHを合併しVPSを施行するも腹水を...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1998, Vol.65 (6), p.547-547
Hauptverfasser: 村松光, 松本正博, 志村俊郎, 渡辺玲, 野手洋治, 寺本明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳室腹腔短絡術(VPS)は, 脳血管障害(CVA)などの亜急性期から慢性期にかけて発症する正常圧水頭症(NPH)の治療法として普及しているが, 幾つかの合併症がある. 特に胸腔内合併症(胸水)はまれであるが, 症状が重篤化するため重要である. VPS後の胸水合併例の多くは, 腹腔側カテーテル(カテ)の胸腔内迷入によるものである. 我々はVPS留置患者のリハビリテーション(リハ)治療経過中, 胸水貯留を認めるも胸腔内迷入所見のない症例を経験したので, 文献的考案を含め報告する. 症例:46歳男性, 26歳時胃潰瘍に対し胃亜全摘術の既往がある. クモ膜下出血後NPHを合併しVPSを施行するも腹水を認めたため, 腹腔側カテを右前横隔膜下窩(腹腔内)に置換した. 右片麻痺などに対するリハ治療目的で転院後, 胸水(漏出性)貯留を認めた. 精査(腹部CT, エコー, MRI, シャント造影)の結果, 横隔膜下窩に限局性腹水を認め, カテの胸腔内迷入は認められなかった. 利尿剤は無効で, 脳室心房シャント置換により胸腹水は消失, 現在順調に歩行訓練中である. 考案:1)VPS後の胸水報告例(18例)中, カテの胸腔内迷入のないものは5例のみ(本邦では初症例)であり, 本症例以外はすべて小児例である. 2)本症例では, 著明な腹膜癒着が胸水貯留に関連していたと考えられる. 3)成人で腹腔内手術の既往があり, かつNPHに対しVPSが施行してある症例では, CVA慢性期のリハ治療中においても胸水貯留の可能性を念頭に経過観察する必要がある.
ISSN:1345-4676