P-95)腫瘍間質にIV型コラーゲンを認めた肺の類上皮様血管内皮腫の1例

症例は初診時36歳女性. 1994年1月よりの喀痰, 咳嗽, 血痰を主訴とし1995年3月6日当院第4内科受診となる. 受診時胸部レントゲン写真にて両側中下肺野優位のび慢性小粒状影を認めた. 経気管支的肺生検では診断が得られず7月21日第2外科にて胸腔鏡下肺生検を施行した. 組織所見は円形から多角形の腫瘍細胞が上皮様の細胞接着をとり肺胞腔内, 血管, リンパ管内に密に認められ, 小結節を形成し, 中央部は硝子様変性に陥っていた. 腫瘍細胞には細胞質内空胞が認められた. 免疫組織化学染色では, 腫瘍細胞はケラチン陰性, ビメンチン強陽性であり, 第VIII因子関連抗原は弱陽性, トロンボモジェリ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1996, Vol.63 (6), p.565-565
Hauptverfasser: 持丸博, 福田悠, 福島光浩, 山中宣昭, 神尾孝一郎, 田中庸介, 谷口泰之, 村田朗, 工藤翔二, 秋山博彦, 原口秀司, 小泉潔, 杉崎祐一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は初診時36歳女性. 1994年1月よりの喀痰, 咳嗽, 血痰を主訴とし1995年3月6日当院第4内科受診となる. 受診時胸部レントゲン写真にて両側中下肺野優位のび慢性小粒状影を認めた. 経気管支的肺生検では診断が得られず7月21日第2外科にて胸腔鏡下肺生検を施行した. 組織所見は円形から多角形の腫瘍細胞が上皮様の細胞接着をとり肺胞腔内, 血管, リンパ管内に密に認められ, 小結節を形成し, 中央部は硝子様変性に陥っていた. 腫瘍細胞には細胞質内空胞が認められた. 免疫組織化学染色では, 腫瘍細胞はケラチン陰性, ビメンチン強陽性であり, 第VIII因子関連抗原は弱陽性, トロンボモジェリン陽性であった. 以上より類上皮様血管内皮腫の診断を得た. 電顕的には胞体内に中間径filament, 粗面小胞体が目立ち, 細胞質内空胞構造は原始血管腔であると考えられた. 腫瘍細胞間にはPAS陽性の細胞外基質を認め, それらに一致して免疫組織化学染色ではIV型コラーゲン陽性であった. 電顕的に腫瘍細胞間の細胞外基質は基底膜様無構造物質, microfiblisが豊富であった. IV型コラーゲンの増加をみる腫瘍は腺様嚢胞癌, 卵巣の明細胞癌などで知られているが, 本腫瘍では初めての報告である. 類上皮様血管内皮腫はその名の通り血管内皮由来の腫瘍であり, 腫瘍細胞がIV型コラーゲンを産生している可能性が推測された.
ISSN:1345-4676