術中迅速診断

術中迅速診断とは文字通り手術中に目的とする部位の病理診断を速やかに行うことである. 欧米では肉眼診断あるいは細胞診のみの場合も多いが, 我が国では一般的に未固定標本が病理に提出され凍結切片を主に, また必要に応じて細胞診標本が作製される. そして診断結果如何によっては術式が大きく変更される. この時標本の受理から凍結切片の検鏡までは10~15分であり, 短時間に診断が下されるという利点がある. この点からみると外来検査などを含めたすべての病理診断を迅速診断で行えば, 治療方針の決定もすみやかに下されると考えられそうである. ところが実際にはホルマリンなどで一定時間固定された永久標本と呼ばれるも...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1996, Vol.63 (6), p.495-498
Hauptverfasser: 伊藤憲祐, 河野潤, 高橋健, 川本雅司, 小川真紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:術中迅速診断とは文字通り手術中に目的とする部位の病理診断を速やかに行うことである. 欧米では肉眼診断あるいは細胞診のみの場合も多いが, 我が国では一般的に未固定標本が病理に提出され凍結切片を主に, また必要に応じて細胞診標本が作製される. そして診断結果如何によっては術式が大きく変更される. この時標本の受理から凍結切片の検鏡までは10~15分であり, 短時間に診断が下されるという利点がある. この点からみると外来検査などを含めたすべての病理診断を迅速診断で行えば, 治療方針の決定もすみやかに下されると考えられそうである. ところが実際にはホルマリンなどで一定時間固定された永久標本と呼ばれるものが診断の大半を占めており, 迅速診断の適応は制限されている. その最大の理由は迅速診断の唯一といってよい利点である迅速さが両刃の剣であり, 多くの欠点を有しているからである. 本論ではその欠点を中心にそれが生じる理由と, 欠点を最小限に抑えるための注意点を順次述べてゆく.
ISSN:1345-4676