20)胃ポリープ症例におけるHelicobacter pylori感染:病理組織型別検討を含めて
消化性潰瘍とHelicobacter pylori(H. pylori)感染の関係についてはすでに多くの報告がある. われわれは胃ポリープ症例におけるH. pylori感染について検討した. 当科では病理部との申し合わせにより日本消化器病学会の基準, すなわち前庭部大轡側(1), 胃体部大彎側(2)に胃体下部小彎側(3)を加えた3定点生検を行っている. 胃体下部小彎側からの生検はH. pylori感染および胃粘膜萎縮の程度を知るためである. 胃ポリープ77例中50.6%の症例にH. pyloriの感染がみられた. H. pylori感染例のうちポリープそのものに感染を認めるものと認めないものの...
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Veröffentlicht in: | Journal of Nippon Medical School 1996, Vol.63 (4), p.304-305 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 消化性潰瘍とHelicobacter pylori(H. pylori)感染の関係についてはすでに多くの報告がある. われわれは胃ポリープ症例におけるH. pylori感染について検討した. 当科では病理部との申し合わせにより日本消化器病学会の基準, すなわち前庭部大轡側(1), 胃体部大彎側(2)に胃体下部小彎側(3)を加えた3定点生検を行っている. 胃体下部小彎側からの生検はH. pylori感染および胃粘膜萎縮の程度を知るためである. 胃ポリープ77例中50.6%の症例にH. pyloriの感染がみられた. H. pylori感染例のうちポリープそのものに感染を認めるものと認めないものの頻度は各々41.7%, 58.3%であった. H. pylori非感染例に比し感染例において背景胃粘膜の炎症, 活動性が高頻度に認められた. 大島は胃ポリープ症例の背景胃粘膜には71.9%の割合で萎縮が認められることを報告しているが, 今回対照とした胃ポリープ例においても内視鏡的, 病理学的萎縮例が多かった. ポリープの病理組織像は腺窩上皮型, 胃腺型, 腸上皮化生型に分けられる. 胃底腺型過形成性ポリープではH. pyloriの感染率が低く(10.7%), 腺窩上皮型過形成性ポリープではそれの高い傾向を示した(84.2%). H. pylori感染のある消化性潰瘍例に除菌を目的とした治療が行われているが, 除菌によりH. pylori感染のある腺窩上皮型ポリープの消失する可能性が考えられた. |
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ISSN: | 1345-4676 |