18)大網充填移植術の消化性潰瘍根治性とquality of life

穿孔性胃, 十二指腸潰瘍に対する治療は嘗ての広範囲胃切除術や迷走神経切離術から穿孔部閉鎖術や保存療法を行いH2-RAやPPIを投与する時代になった. これは単純閉鎖術だけで20~30%が自然治癒し, 残りの70%の殆どの症例が薬物療法でコントロールできるという疫学的な成績から, 外科的な減酸手術を必要とする症例は僅かであり, それに対し一律に一期的に減酸手術を行ってきたのはover surgeryであったという反省の上に立っている. 我々は1969年より穿孔性胃, 十二指腸潰瘍に対し大網充填移植術(omental implantation)を行ってきた. 当初は消化吸収を損ない晩期合併症を齎ら...

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Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1995, Vol.62 (3), p.300-300
Hauptverfasser: 的場康徳, 平田知己, 渡辺昌則, 内藤英二, 平野文也, 伊藤正秀, 原一郎, 馬越正通, 難波亨, 久吉隆郎, 天野純治, 大網弘, 片山博徳, 松林冨士男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:穿孔性胃, 十二指腸潰瘍に対する治療は嘗ての広範囲胃切除術や迷走神経切離術から穿孔部閉鎖術や保存療法を行いH2-RAやPPIを投与する時代になった. これは単純閉鎖術だけで20~30%が自然治癒し, 残りの70%の殆どの症例が薬物療法でコントロールできるという疫学的な成績から, 外科的な減酸手術を必要とする症例は僅かであり, それに対し一律に一期的に減酸手術を行ってきたのはover surgeryであったという反省の上に立っている. 我々は1969年より穿孔性胃, 十二指腸潰瘍に対し大網充填移植術(omental implantation)を行ってきた. 当初は消化吸収を損ない晩期合併症を齎らす減酸手術を避け薬物療法(on demand therapy)をする上での穿孔部閉鎖術の意味合いが強かったが, その後長期成績を検討した結果, 本法は消化性潰瘍のnatural historyを変える作用の存在が示唆され1980年以降は第一選択としてきた. そこで実験潰瘍を用いて本法の病理学的検討を行った. その結果, 大網は潰瘍の好中球浸潤抑制作用や, 細胞増殖因子を介した血管新生作用や細胞外マトリックス産生作用を有し, 潰瘍治癒促進と再発抑制を齎らしていた. 以上の結果より穿孔性胃, 十二指腸潰瘍に対する治療としては大網充填移植術が最も患者のquality of lifeを高める術式と考えられた.
ISSN:1345-4676