20)甲状腺髄様癌におけるモノクローナル抗体HISL-19抗原局在に関する免疫電顕的検討

はじめに:モノクローナル抗体HISL-19は, 内分泌腫瘍に対する免疫組織化学的診断として有用であり, また良性, 悪性腫瘍の染色性に相違があり, 悪性内分泌腫瘍に特異的に出現する抗原を生化学的に同定し得たなど興味ある抗体である. 今回は, 本抗原の局在について免疫電顕的観察を行ったので報告する. 材料と方法:対象は, SAB法による組織化学的検索の結果, 陽性所見を呈した甲状腺髄様癌の4%formaldehyde固定, OCT compound包埋した凍結標本の6μm切片を使用した. 免疫電顕法にはpre-embedding法を使用, 組織化学的手技は光顕同様SAB法を行いグルタール再固定,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Journal of Nippon Medical School 1995, Vol.62 (1), p.82-83
Hauptverfasser: 岩村太郎, 清水一雄, 長浜充二, 豊島宏二, 北村裕, 陳光永, 渋谷哲男, 田中茂夫, 並松茂樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:モノクローナル抗体HISL-19は, 内分泌腫瘍に対する免疫組織化学的診断として有用であり, また良性, 悪性腫瘍の染色性に相違があり, 悪性内分泌腫瘍に特異的に出現する抗原を生化学的に同定し得たなど興味ある抗体である. 今回は, 本抗原の局在について免疫電顕的観察を行ったので報告する. 材料と方法:対象は, SAB法による組織化学的検索の結果, 陽性所見を呈した甲状腺髄様癌の4%formaldehyde固定, OCT compound包埋した凍結標本の6μm切片を使用した. 免疫電顕法にはpre-embedding法を使用, 組織化学的手技は光顕同様SAB法を行いグルタール再固定, オスミウム後固定後超薄切片を作成し無染色または鉛染色で検鏡した. 結果:本症例の電顕標本用凍結切片に対する光顕レベルでのHISL-19の組織化学反応は強陽性所見を呈した. 電顕的には本法で核, 核小体, 分泌穎粒, ERなど細胞質organellaが確認できた. HISL-19陽性物質は, 大半が分泌穎粒内に認められた. 考案:光顕レベルでのHISL-19陽性所見は粗大顆粒状, 核近傍に密に, また淡く細胞質全体など様々であり, 生化学的には悪性腫瘍で低分子量の新しいHISL-19抗原が同定された. 今回の研究から分泌顆粒内にみられるこの抗原は悪性腫瘍に特異的な抗原か, 良性腫瘍ではどのように観察できるのか, また他の微小器官にも出現するのかなどについて検討中である.
ISSN:1345-4676