HDAC阻害薬とストレス反応の調節機構

生体の遺伝子発現調節においては, さまざまなDNA結合タンパク質やクロマチン関連因子が動員される. 例えば, 遺伝子の転写が活性な場合には, 転写因子とヒストンアセチル化酵素などのコアクチベーターが存在し, コアヒストンは高アセチル化状態となる. 本研究では, ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害薬が, 急性ストレス刺激に対する情動的抵抗性を誘導することを明らかにした. また, 軽微なストレス刺激の慢性負荷によりストレス刺激に対する情動的適応を獲得したモデルマウスの海馬において, ヒストンアセチル化が誘導されていること, さらには, 強度なストレス刺激を慢性負荷したストレス適応障害モデ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2016, Vol.56(4), pp.322-327
Hauptverfasser: 宮川, 和也, 齋藤, 淳美, 宮岸, 寛子, 武田, 弘太郎, 辻, 稔, 武田, 弘志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:生体の遺伝子発現調節においては, さまざまなDNA結合タンパク質やクロマチン関連因子が動員される. 例えば, 遺伝子の転写が活性な場合には, 転写因子とヒストンアセチル化酵素などのコアクチベーターが存在し, コアヒストンは高アセチル化状態となる. 本研究では, ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) 阻害薬が, 急性ストレス刺激に対する情動的抵抗性を誘導することを明らかにした. また, 軽微なストレス刺激の慢性負荷によりストレス刺激に対する情動的適応を獲得したモデルマウスの海馬において, ヒストンアセチル化が誘導されていること, さらには, 強度なストレス刺激を慢性負荷したストレス適応障害モデルマウスにおいて, HDAC阻害薬がストレス適応促進効果を示すことを見い出した. これらの知見は, ストレス刺激に対する脳内の恒常性維持機構において, ヒストンアセチル化が重要な役割を担っている可能性を示している.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.56.4_322