巻頭言 地域医療と心身医学
去年から今年にかけて, 筆者なりに現代の心身医学の課題を考える時を過ごした. 本年1月に第53回日本心身医学会九州地方会を開催し, 一方, 母研究室である九州大学第1内科臨床心理研究室の歴史を本誌の1月号に特別寄稿として掲載していただいたからである. その中で思ったことを述べる. 由布岳のふもとで地域医療に従事してはや17年が過ぎた. 当院は50年の歴史があるが, 筆者が赴任した17年前は, 田舎でのんびりとリハビリテーションを行う病院だった. 周囲の山々と地元の農家の方が丁寧に手入れした里山が調和する美しい自然の中で, 肥満症, 摂食障害, その他の心身症やうつ病, パニック障害などの治療も...
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Veröffentlicht in: | 心身医学 2014-12, Vol.54 (12), p.1081-1082 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 去年から今年にかけて, 筆者なりに現代の心身医学の課題を考える時を過ごした. 本年1月に第53回日本心身医学会九州地方会を開催し, 一方, 母研究室である九州大学第1内科臨床心理研究室の歴史を本誌の1月号に特別寄稿として掲載していただいたからである. その中で思ったことを述べる. 由布岳のふもとで地域医療に従事してはや17年が過ぎた. 当院は50年の歴史があるが, 筆者が赴任した17年前は, 田舎でのんびりとリハビリテーションを行う病院だった. 周囲の山々と地元の農家の方が丁寧に手入れした里山が調和する美しい自然の中で, 肥満症, 摂食障害, その他の心身症やうつ病, パニック障害などの治療も行ってきた. 今でも病院の基本的なスタンスに変わりはないが, この間, 地域の高齢化, 過疎化は急速に進んだ. 異常気象も加わり里山の自然も荒れてきた. 都会の家族と離れ住む高齢住民は自身複数の疾病を併せ持ち, 老々介護, 親族の死別, 孤立, 貧窮, 住環境の悪化などさまざまな問題にさらされてうつ病や心身症, 認知症などを発症している. |
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ISSN: | 0385-0307 |