がん患者の生活の質向上のために : がんの痛み,がんのつらさを和らげるための基礎から臨床へのトランスレーショナルリサーチ(2012年,第53回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(鹿児島))

2007年「がん対策基本法」が成立,2012年には「第2期がん対策推進基本計画」が策定され,緩和ケアへの総合対策が推進されている.筆者らは緩和ケアの橋渡し研究を行っている.がん患者の除痛は「3段階WHO方式がん疼痛治療法」に沿って行われているが十分ではない.筆者らは難治性がん性疼痛緩和研究のための新たなモデル動物を開発し,腹膜播種の痛みに低用量lidocaineが奏効する結果を得た.またがん悪液質症状緩和の研究では,新たに作製した悪液質モデルを用いて,漢方薬「六君子湯」が食思不振,体重減少を改善することを明らかにした.加えて膵がん患者を対象として「六君子湯」の悪液質改善効果についての第II相臨...

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Veröffentlicht in:心身医学 2013/12/01, Vol.53(12), pp.1081-1088
Hauptverfasser: 上園, 保仁, 鈴木, 雅美, 寺脇, 潔, 宮野, 加奈子, 白石, 成二, 須藤, 結香
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:2007年「がん対策基本法」が成立,2012年には「第2期がん対策推進基本計画」が策定され,緩和ケアへの総合対策が推進されている.筆者らは緩和ケアの橋渡し研究を行っている.がん患者の除痛は「3段階WHO方式がん疼痛治療法」に沿って行われているが十分ではない.筆者らは難治性がん性疼痛緩和研究のための新たなモデル動物を開発し,腹膜播種の痛みに低用量lidocaineが奏効する結果を得た.またがん悪液質症状緩和の研究では,新たに作製した悪液質モデルを用いて,漢方薬「六君子湯」が食思不振,体重減少を改善することを明らかにした.加えて膵がん患者を対象として「六君子湯」の悪液質改善効果についての第II相臨床試験を開始した.がんに対する診断,治療は日進月歩であり,患者ががんと向かい合う期間は長くなっている.がん患者のQOL向上のための研究はこれまで以上にクローズアップされ,重要な推進課題となると考えられる.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.53.12_1081