6. 摂食障害による易感染性のため敗血症に至り心肺停止,脳膿瘍を来した1例(一般演題,第48回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)

「背景」:神経性食欲不振症(以下AN)では様々な身体合併症を認め, 致死的な経過を辿ることがある. 肺炎から敗血症に至り心肺停止後, 脳膿瘍を合併したが回復した1例を経験した. 「症例」:16歳, 女性, AN制限型. 現病歴:14歳時に体重が59kgになりダイエットを開始. 15歳時には48kgで無月経となり, 36kgまで減少し, 近医心療内科受診しANと診断された. 肝障害を認め当科紹介初診(初診時36kg), 以後も体重減少が続き, 2カ月後には31kgとなり当科入院となった. 「入院経過」:入院時身長163cm, 体重31kg, BMI 11.7. 肥満恐怖, 食行動への強迫的こだわ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2012/04/01, Vol.52(4), pp.336
Hauptverfasser: 小東, 睦, 崔, 炯仁, 水原, 祐起, 畑, 讓, 西澤, 晋, 山下, 達久, 福居, 顯二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「背景」:神経性食欲不振症(以下AN)では様々な身体合併症を認め, 致死的な経過を辿ることがある. 肺炎から敗血症に至り心肺停止後, 脳膿瘍を合併したが回復した1例を経験した. 「症例」:16歳, 女性, AN制限型. 現病歴:14歳時に体重が59kgになりダイエットを開始. 15歳時には48kgで無月経となり, 36kgまで減少し, 近医心療内科受診しANと診断された. 肝障害を認め当科紹介初診(初診時36kg), 以後も体重減少が続き, 2カ月後には31kgとなり当科入院となった. 「入院経過」:入院時身長163cm, 体重31kg, BMI 11.7. 肥満恐怖, 食行動への強迫的こだわりなどを認め, 行動療法を開始したが肝機能障害が再燃し中断. 第40病日未明に呼吸困難が出現. 発熱は認めず. CRP上昇を認め, 肺炎と診断され抗生剤投与を開始した. 同日午後に呼吸状態が急激に悪化, 心肺停止状態となり, 蘇生後にICU入室. DICに加え, 重篤な肝腎障害が出現したため第43病日抗生剤を中止した. 第58病日よりDICは改善し血液透析を開始. 以後は肺炎の増悪に応じ抗生剤を投与した. 第85病日より意識レベル低下, 左方注視障害, 左上下肢脱力が出現. 頭部MRIにて右頭頂後頭葉の脳膿瘍とそれに伴う脳浮腫と診断され, 抗生剤による保存療法を行った. 全身状態は改善し, 第110病日に一般病棟へ転棟. 食行動へのこだわりは認めたが経口摂取は良好であった. 第142病日リハビリテーション目的で転院(33.4kg). その後自宅退院, 復学にまで至り, 43kgを維持し肥満恐怖ややせ願望は認めていない. 「考察」:本症例では感染症を示唆する臨床所見が乏しく, 急激に全身状態が悪化した. また肝腎機能障害のため抗生剤投与が困難であり脳膿瘍に至るなど, 重篤な合併症をきたした. 重症のANでは易感染性を十分に認識しながら対応していく必要がある.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.52.4_336_1