3. 自閉症スペクトラム症例の青年期危機への治療的関わり(一般演題,第48回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)

「はじめに」:自閉症スペクトラム症例の青年期危機にまつわる二次障害を, 臨床的にどう扱い, どのように治療をすすめたらよいか. 反社会的行動化の予告, 度重なる就労挫折, 言語的な治療関係構築の困難さ, 短期入院の繰り返し, などの諸問題を呈した症例を経験したので, その背景を検討し, 自閉症スペクトラムの特性に配慮した治療・援助について, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」:初診時18歳, 高校2年生で休学中. 生後10カ月より発達の遅れを指摘され, 保育園では集団行動が苦手であった. 小学4年頃より強迫症状の発症と学習障害の疑いにて育成学級へ. 14歳時に地域の医療センターで「軽度精神...

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Veröffentlicht in:心身医学 2012/04/01, Vol.52(4), pp.334-335
Hauptverfasser: 山田, 美和, 細井, 哲, 柏, 由紀子, 加嶋, 晶子, 国本, 美紀, 谷, 直介
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「はじめに」:自閉症スペクトラム症例の青年期危機にまつわる二次障害を, 臨床的にどう扱い, どのように治療をすすめたらよいか. 反社会的行動化の予告, 度重なる就労挫折, 言語的な治療関係構築の困難さ, 短期入院の繰り返し, などの諸問題を呈した症例を経験したので, その背景を検討し, 自閉症スペクトラムの特性に配慮した治療・援助について, 若干の考察を加えて報告する. 「症例」:初診時18歳, 高校2年生で休学中. 生後10カ月より発達の遅れを指摘され, 保育園では集団行動が苦手であった. 小学4年頃より強迫症状の発症と学習障害の疑いにて育成学級へ. 14歳時に地域の医療センターで「軽度精神遅滞を伴う自閉症スペクトラム障害」と診断され通院を始めた. 中学・高校といじめにあうも, アルバイトには意欲的に取り組み貯金で趣味のものを買うなどの一面がみられた. しかしアルバイトを継続するうち強迫症状が増悪し, 食事がとれず, げっぷが出たり, 抜毛癖といった症状も生じた. 休学して通院していたが, ある日, 離れに住む祖母のところへ包丁を持って現れ自殺をほのめかしたため, 入院目的で当院へ紹介された. 治療としては週1回の通院を基本にしながら, これまで数日程度の入院を4回繰り返した. 「考察」:本症例は14歳で自閉症スペクトラムの診断を受けて療育や進路への配慮もなされたが, 本人は自己の特性を十分理解できていなかった. 受診時に自ら持参するレポートでは, 他罰的な思考や, 挫折感や抑うつ感がさまざまな形で表現されていた. また, 本人なりに不適応の要因を探り, 自己像や人生設計を描こうと取り組む姿勢がうかがわれた. 病院での多職種との対人関係は「積極奇異型」(ウイング)に相当し, 入院・外来でも問題行動が見受けられた. 言語化が困難であったが, レポートを題材にした面接が有用であり, 引き続きレポートを用いて自己理解を促しつつ再適応を目指したい.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.52.4_334_2