12. PDDスペクトラムという視点の有効性について(一般演題,第63回日本心身医学会中部地方会演題抄録)

成人の難治性精神疾患の背景に, PDD(広汎性発達障害)の存在が見落とされているケースにしばしば遭遇する. PDDの診断は不明瞭であるが, スペクトラムとしてとらえ, その傾向があるケースにはPDDの観点から介入を行うことで, 硬直した治療に変化が起きることを経験してきた. 今回, 当院で経験したいくつかのケースについて, 過去の病歴, PDDを疑った理由, 検査所見, 治療的介入後の変化についてまとめた. 過去においては, 気分障害, 人格障害, 摂食障害などの診断がなされていた. 葛藤を「困惑」へ, 防衛を「柔軟性の欠如」へ, 行動化を「パニック」へと視点を変えた. 治療的には, 内省的手...

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Veröffentlicht in:心身医学 2012/02/01, Vol.52(2), pp.158
Hauptverfasser: 山川, 真紀子, 井澤, 直子, 岸, 里江, 山口, 奈美, 竹内, 聡, 神谷, 栄治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:成人の難治性精神疾患の背景に, PDD(広汎性発達障害)の存在が見落とされているケースにしばしば遭遇する. PDDの診断は不明瞭であるが, スペクトラムとしてとらえ, その傾向があるケースにはPDDの観点から介入を行うことで, 硬直した治療に変化が起きることを経験してきた. 今回, 当院で経験したいくつかのケースについて, 過去の病歴, PDDを疑った理由, 検査所見, 治療的介入後の変化についてまとめた. 過去においては, 気分障害, 人格障害, 摂食障害などの診断がなされていた. 葛藤を「困惑」へ, 防衛を「柔軟性の欠如」へ, 行動化を「パニック」へと視点を変えた. 治療的には, 内省的手法は刺激を増し混乱を助長するので行わず, 問題の明確化と環境刺激の軽減, 現実的課題への対応方法の工夫を話し合うなど, PDDへのかかわりに準じたものとした. それにより, 症状や適応状態は改善し, 患者と治療目標を共有しやすくなった.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.52.2_158_2