12.夫との不和を契機に発症し,「悲哀の仕事」を経て,別居後身体症状が軽快した成人女性の2症例(一般演題,第47回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)

目的:心療内科を受診する女性患者の中には, 夫婦の問題が契機となっている症例も多い. 夫と「心の再婚」をする道ではなく, 離れることで症状が軽快した症例を報告する. 症例1:54歳, 女性, 心因性頻尿・神経性咳嗽・うつ病. 夫の自己破産を契機に発症. 症例2:41歳, 女性, 過敏性腸症候群・うつ病. 夫とのセックスレスを契機に発症. 考察:患者は, 夫婦不和という危機に陥った時に, 夫とそれに伴う理想の家族像を断念しなくてはならなかった. 喪失の否認から, 身体症状や抑うつ状態を呈しながらも, 夫に対する依存や期待も捨てきれず, 両価的感情を行き来する中でなかなか寛解には至らなかった. し...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2011/10/01, Vol.51(10), pp.941-942
Hauptverfasser: 栃原, 京子, 松岡, 弘道, 小山, 敦子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:心療内科を受診する女性患者の中には, 夫婦の問題が契機となっている症例も多い. 夫と「心の再婚」をする道ではなく, 離れることで症状が軽快した症例を報告する. 症例1:54歳, 女性, 心因性頻尿・神経性咳嗽・うつ病. 夫の自己破産を契機に発症. 症例2:41歳, 女性, 過敏性腸症候群・うつ病. 夫とのセックスレスを契機に発症. 考察:患者は, 夫婦不和という危機に陥った時に, 夫とそれに伴う理想の家族像を断念しなくてはならなかった. 喪失の否認から, 身体症状や抑うつ状態を呈しながらも, 夫に対する依存や期待も捨てきれず, 両価的感情を行き来する中でなかなか寛解には至らなかった. しかし, カウンセリングで共感的な聴き手に事実を語ることで, 自我感情が回復し, 不安に直面できるようになった. さらに夫との別居, 離婚という現実的な分離を経ることで, 喪失の事実に直面し夫からの分化がはかられた. 結果, 症状は軽快し安定している.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.51.10_941_4