1.神経性大食症のため治療に難渋した急性膵炎の1例(一般演題,第47回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)

はじめに:救急の場において, 神経性大食症(bulimia nervosa:BN)の患者は腹痛, 嘔気, 嘔吐を主訴として来院される. また嘔吐による高アミラーゼ血症を認めることがあるが, これらの症状は急性膵炎でも同様に認められる. 今回, 過食発作を契機に上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)性の十二指腸狭窄(以下SMA症候群)をきたし, それによって急性膵炎を発症した症例を経験したため報告する. 症例:20代, 女性. 157cm/33.7kg(BMI 13.7). 主訴:腹痛・嘔気・嘔吐. 経過:10年前より過食発作と食後すぐの自己誘発性嘔吐を繰り...

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Veröffentlicht in:心身医学 2011/10/01, Vol.51(10), pp.938-939
Hauptverfasser: 山村, 綾, 堀, 裕典, 植木, 佐緒里, 福永, 幹彦, 中井, 吉英
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:救急の場において, 神経性大食症(bulimia nervosa:BN)の患者は腹痛, 嘔気, 嘔吐を主訴として来院される. また嘔吐による高アミラーゼ血症を認めることがあるが, これらの症状は急性膵炎でも同様に認められる. 今回, 過食発作を契機に上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)性の十二指腸狭窄(以下SMA症候群)をきたし, それによって急性膵炎を発症した症例を経験したため報告する. 症例:20代, 女性. 157cm/33.7kg(BMI 13.7). 主訴:腹痛・嘔気・嘔吐. 経過:10年前より過食発作と食後すぐの自己誘発性嘔吐を繰り返していたが, 過食発作後に強い腹痛を認め, しだいに腹痛が増悪してきたため来院, 血液検査上, WBC増多, 膵アミラーゼ高値を認め, エコー上, SMAによる十二指腸の圧迫を認めた. 腹部単純造影CTでは著明な胃拡張とそれによるSMAの圧迫を認め, SMA症候群による急性膵炎と診断し入院となった. 胃管挿入し胃内容物を排出するとともに, 輸液, 蛋白分解酵素阻害薬, 抗生剤を投与した. 本来ならば膵炎の治療上絶食を必要とするが, 入院後より過食衝動が強く, ガム・ノンシュガー飴を許可とした. 入院数日のうちに炎症反応は正常化したため, 入院8日目より膵臓食3分粥を開始. 入院12日目に5分粥に変更したところ, スナック菓子を隠れ食いし過食・嘔吐. 過食衝動のコントロール困難を訴えたため, 相談のうえ, おにぎり6個の摂取を許可. その後も隠れ食いを認めたが, 症状の増悪なく入院21日目に退院となった. 考察:このような機序での急性膵炎の報告は少なく, BNの患者において上記主訴の原因として膵炎も念頭におくべきであると考えられる. また膵炎の治療において, 炎症反応や膵酵素が正常化するまでは原則絶食であるが, BN患者では過食発作のコントロールに難渋するケースもある.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.51.10_938_2