III-1.適切なソーシャルサポートが経過に良好な影響を与えたうつ病の1例(第113回日本心身医学会関東地方会演題抄録)

「はじめに」 うつ病の治療においては環境面への配慮が重要といわれているが, 適切なソーシャルサポートにより経過に良好な影響を与えた例を今回経験したので報告する. 「症例」 42歳, 男性, 自営業. 主訴は意欲低下. 家族で経営する金属関係の業務を中心とした自営業者の次男として生まれた. 学業不振を理由に高校中退後, 18歳時より実家の会社にて勤務していた. 家族や社員のサポート体制のもと, 40歳過ぎまで, はっきりとしたうつ病エピソードはなく経過していた. 職場の責任者となり, X-1年, 意欲低下, 易疲労感等の症状が出現した. その後, 意欲低下を中心に抑うつ症状が悪化し, X年当院心...

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Veröffentlicht in:心身医学 2011/05/01, Vol.51(5), pp.435
Hauptverfasser: 守谷, 俊平, 端詰, 勝敬, 岩崎, 愛, 菅, さくら, 天野, 雄一, 林, 果林, 坪井, 康次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 うつ病の治療においては環境面への配慮が重要といわれているが, 適切なソーシャルサポートにより経過に良好な影響を与えた例を今回経験したので報告する. 「症例」 42歳, 男性, 自営業. 主訴は意欲低下. 家族で経営する金属関係の業務を中心とした自営業者の次男として生まれた. 学業不振を理由に高校中退後, 18歳時より実家の会社にて勤務していた. 家族や社員のサポート体制のもと, 40歳過ぎまで, はっきりとしたうつ病エピソードはなく経過していた. 職場の責任者となり, X-1年, 意欲低下, 易疲労感等の症状が出現した. その後, 意欲低下を中心に抑うつ症状が悪化し, X年当院心療内科に休養および薬物調整のために入院した. 入院中施行したWAIS-Rにて境界知能であることが判明した. 母との面談を施行したが, やはり本患者の能力面などについて考慮したうえで職場での負担については以前より配慮してきたとのことであった. その後は順調に経過し職場復帰する段階に至った. 「考察」 うつ病においては環境面への配慮が必要といわれている. 本症例では, 境界知能を有しており, ソーシャルスキルが低いことが考えられ, 支持グループのサポートがなければ, より早い段階での発症も十分に起こりうるケースであった. 境界知能を有するケースではより慎重な対応が必要であると考えられた.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.51.5_435_1