I-1.神経性食思不振症の強迫的症状 : 脳形態からの考察(第113回日本心身医学会関東地方会演題抄録)

「はじめに」 摂食障害において不安が精神病理の中心にあることは従来から指摘されており, 中でも強迫性障害との関連が指摘されてきた. またBMI低値, 罹病期間の長い症例は脳, 特に前頭葉に萎縮が目立つことが報告されている. 一方, 強迫性障害は近年の脳機能検査の発達により前頭眼窩面や前帯状回, 基底核領域の機能異常, 形態異常が特徴的に示された. 摂食障害で前頭葉が萎縮していく中で前頭眼窩面や前帯状回, 基底核領域が萎縮および機能低下し, 強迫性障害に近い病態が生じ経過に影響するのではないかと推測し, 頭部MRI画像を遡及的に検討した. 「目的」 BMI低値, 罹病期間の長い摂食障害症例の頭部...

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Veröffentlicht in:心身医学 2011/05/01, Vol.51(5), pp.432
Hauptverfasser: 佐谷, 健一郎, 端詰, 勝敬, 守谷, 俊平, 岩崎, 愛, 菅, さくら, 久我原, 明朗, 林, 果林, 天野, 雄一, 坪井, 康次
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 摂食障害において不安が精神病理の中心にあることは従来から指摘されており, 中でも強迫性障害との関連が指摘されてきた. またBMI低値, 罹病期間の長い症例は脳, 特に前頭葉に萎縮が目立つことが報告されている. 一方, 強迫性障害は近年の脳機能検査の発達により前頭眼窩面や前帯状回, 基底核領域の機能異常, 形態異常が特徴的に示された. 摂食障害で前頭葉が萎縮していく中で前頭眼窩面や前帯状回, 基底核領域が萎縮および機能低下し, 強迫性障害に近い病態が生じ経過に影響するのではないかと推測し, 頭部MRI画像を遡及的に検討した. 「目的」 BMI低値, 罹病期間の長い摂食障害症例の頭部MRI画像を形態的に検討し, 臨床所見とあわせて摂食障害の強迫性と強迫性障害の所見の共通性を検討する. 「方法」 対象は神経性食思不振症と診断され, BMI低値, 罹病期間が10年以上で頭部MRIが施行された8例(制限型7例, 過食排出型1例, 24~45歳(中央値36歳), 全例女性)を対象に検討項目は前頭眼窩面, 前帯状回萎縮の定性的評価, 「とらわれ」や「反復的行為」などの強迫症状を検討した. 「結果」 8例中5例で前頭眼窩面や前帯状回を含めた前頭葉に萎縮が目立ち, それらの症例は臨床症状も治療に強固に抵抗する強いとらわれや反復的行為を認めた. 「結論」 摂食障害症例は前頭葉萎縮に伴い二次的に強迫性障害症状をも合併することが推測された.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.51.5_432_1