17.バセドウ眼症のステロイド療法後,うつ状態も軽快した甲状腺機能正常バセドウ病に合併するうつ状態の1例(一般演題,第48回日本心身医学会九州地方会演題抄録(1))

「症例」:63歳, 女性, X年に近医精神科クリニックより, 軽快をみないため, 環境変化で治療変化をとのことで, 紹介入院. 入院時の甲状腺機能は正常だった. その後, X+2年入院治療を薬剤調整やカウンセリングで施行するも, うつ状態に変化をみなかった. X+2年の11月, 徐々に増悪してきた眼球突出が気になるとのことで, 当院眼科を受診. TSH受容体抗体陽性, 甲状腺刺激抗体陽性で, バセドウ病眼症と診断. MRIで外眼筋の肥厚がみられ, ステロイドパルス療法の適応として, X+3年1月佐賀大附属病院に紹介された. X+3年3月末に転院され, ステロイドパルス療法ののち, 4月初めにス...

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Veröffentlicht in:心身医学 2010/08/01, Vol.50(8), pp.779
Hauptverfasser: 岡本, 敬司, 植山, 聡子, 中尾, 功, 村田, 和久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」:63歳, 女性, X年に近医精神科クリニックより, 軽快をみないため, 環境変化で治療変化をとのことで, 紹介入院. 入院時の甲状腺機能は正常だった. その後, X+2年入院治療を薬剤調整やカウンセリングで施行するも, うつ状態に変化をみなかった. X+2年の11月, 徐々に増悪してきた眼球突出が気になるとのことで, 当院眼科を受診. TSH受容体抗体陽性, 甲状腺刺激抗体陽性で, バセドウ病眼症と診断. MRIで外眼筋の肥厚がみられ, ステロイドパルス療法の適応として, X+3年1月佐賀大附属病院に紹介された. X+3年3月末に転院され, ステロイドパルス療法ののち, 4月初めにステロイドも終了し退院. 当院外来で再度フォローとなったが, 退院後, 約1カ月程度は自宅から外に出られない状態が継続した. その後, 内服や環境変化がなかったにもかかわらず, 徐々に活動性が改善. 再度受診もしていただけるようになり, フォローのMRIで外眼筋の肥厚もやや改善していたのとともに, 活動面では家事もこなせるようになり, 6カ月経過しても, その状態が維持できていた. パルス療法前後で炎症所見は陰性のままで, TSH受容体抗体, 甲状腺刺激抗体いずれもが低下していた. 「考察」:甲状腺機能正常でもバセドウ病のことはあり, その場合にも, 眼症とともにうつも持続増悪する可能性がある. そのため, 診断には甲状腺機能検査だけでなく, 眼球突出などの身体所見にも注意が必要である. またさらにSSRIでうつの治療をすると, バセドウ病も軽快するという報告もあり, 今回の症例とともに心身相関を表す例と考えられた. 上記とともに, 本症例は甲状腺とうつの関係について示唆に富む症例であり, 若干の文献的考察を加え発表した.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.50.8_779_2