薬物治療におけるコ・メディカルスタッフとしての心理士の役割 : 患者・薬物・医師の相互関係へのアプローチ

チーム医療における心理士の役割の重要性は,数多く指摘されている.本稿では,心理面接で服薬の話題を扱うことで,治療が進展した2事例を報告した.両事例とも,患者自身が主体的に取り組めることを治療者と一緒に見つけ出し,その主体的な取り組みを治療者が尊重して面接を進めた.その後,薬物治療そのものに関する話題を扱うことにより,服薬や主治医に関しても主体的に取り組めるよう患者が変化した.これらの事例や先行研究を通して,非薬物要因の効果を高める支援者としての心理士の役割について考察した.具体的には,良好な医師-患者関係を構築するための患者や医師へのアプローチが考えられた.心理士の患者へのアプローチは,治療者...

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Veröffentlicht in:心身医学 2010/08/01, Vol.50(8), pp.753-760
Hauptverfasser: 吉里, 恒昭, 丹生, 聖治, 小川, 慶太, 有吉, 祐, 小手川, 勤, 今井, 浩光, 関口, 愛, 大橋, 京一, 中野, 重行
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:チーム医療における心理士の役割の重要性は,数多く指摘されている.本稿では,心理面接で服薬の話題を扱うことで,治療が進展した2事例を報告した.両事例とも,患者自身が主体的に取り組めることを治療者と一緒に見つけ出し,その主体的な取り組みを治療者が尊重して面接を進めた.その後,薬物治療そのものに関する話題を扱うことにより,服薬や主治医に関しても主体的に取り組めるよう患者が変化した.これらの事例や先行研究を通して,非薬物要因の効果を高める支援者としての心理士の役割について考察した.具体的には,良好な医師-患者関係を構築するための患者や医師へのアプローチが考えられた.心理士の患者へのアプローチは,治療者患者間で協働作業のできる信頼関係を構築し,患者の主体性を尊重する態度が重要であると思われた.心理士が,非薬物要因の効果を配慮した関わりを持つことで,薬物治療の促進に役立ち得るものと考えられた.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.50.8_753