IV-2.抑うつ患者におけるイラショナルビリーフとセルフエフィカシー(一般演題,第112回日本心身医学会関東地方会演題抄録)

抑うつ症状と認知的傾向は深く密接に関与するといわれている. 特に「誤った思い込み」であるイラショナルビリーフは抑うつ症状の原因の1つと考えられる. そこで本研究では, 橋口(1989)のREBT Inventoryより12因子を抽出したイラショナルビリーフ尺度(以下, iB尺度)および成田ら(1995)の特性的自己効力感尺度を参考として作成したセルフエフィカシー尺度(以下, SE尺度)を抑うつ患者に施行し, 心理検査を用いて認知的傾向を検討することを目的とした. 「方法」:2007年9月~12月中に日本医科大学千葉北総病院メンタルヘルス科にて, 18~69歳までの, 主にうつ病と診断された患者...

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Veröffentlicht in:心身医学 2010/03/01, Vol.50(3), pp.251
Hauptverfasser: 岡崎, 安沙美, 中山, 菜央, 横田, 雅実, 澤谷, 篤, 藤渡, 辰馬, 橋口, 英俊, 木村, 真人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:抑うつ症状と認知的傾向は深く密接に関与するといわれている. 特に「誤った思い込み」であるイラショナルビリーフは抑うつ症状の原因の1つと考えられる. そこで本研究では, 橋口(1989)のREBT Inventoryより12因子を抽出したイラショナルビリーフ尺度(以下, iB尺度)および成田ら(1995)の特性的自己効力感尺度を参考として作成したセルフエフィカシー尺度(以下, SE尺度)を抑うつ患者に施行し, 心理検査を用いて認知的傾向を検討することを目的とした. 「方法」:2007年9月~12月中に日本医科大学千葉北総病院メンタルヘルス科にて, 18~69歳までの, 主にうつ病と診断された患者(大うつ病49名, 混合性不安抑うつ障害10名, 適応障害11名, 気分変調症9名)計79名(男性35名, 女性44名, 平均41.6±14.2歳)に対し, 上記のiB尺度およびSE尺度, そしてSDS(自己評価式抑うつ性尺度)を施行した. 「結果・考察」:男女差を比べると, SDSの得点は男性より女性のほうが有意に高いが, iB尺度とSE尺度において男女差は見られなかった. さらに18~29歳, 30~49歳, 50~69歳と3群に分け年代別の差を比較したところ, SDSとiB尺度は18~29歳の若年層が51~69歳に比べ有意に抑うつ, iBが高いことがわかった. また, SE尺度においては他世代に比べ18~29歳の得点が有意に低かった. これらのことより, 若年者のうつ病ではiBを抱きやすく, SEが低いことが推測された. また抑うつとiB尺度の各項目の相関を調べたところ, 25項目中11項目に相関がみられ, 特に強い相関が認められた質問項目は「私は, 学校や職場でちょっと失敗しても自分をどうしようもない人間だと思う」であった.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.50.3_251_1