II-1.発達障害児をもつ母親の心理的課題 : MPCを通して(一般演題,第112回日本心身医学会関東地方会演題抄録)

「はじめに」:近年, 発達障害の家族に対してペアレントトレーニングや親の会など親に対する支援体制が整えられてきた. しかし, 障害児をもつ母親の心身の問題に焦点を当てた支援と研究はいまだに不十分であるとされる. そこで, 発達障害児をもつ母親に面接とマガジン・フォト・コラージュ法(Magazine Photo Collage:MPC)を用いる方法で, 障害児をもつ母親の心理的課題について検討を行った. 「方法」:本研究は, 発達障害児をもつ母親へ, 全3回の面接とMPCを行った. 母親のパーソナリティを把握するため, 質問紙調査を実施した. 質問紙には, 東大式エゴグラム(TEG), 自己評価...

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Veröffentlicht in:心身医学 2010/03/01, Vol.50(3), pp.247
Hauptverfasser: 渡邊, 真伊, 近喰, ふじ子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」:近年, 発達障害の家族に対してペアレントトレーニングや親の会など親に対する支援体制が整えられてきた. しかし, 障害児をもつ母親の心身の問題に焦点を当てた支援と研究はいまだに不十分であるとされる. そこで, 発達障害児をもつ母親に面接とマガジン・フォト・コラージュ法(Magazine Photo Collage:MPC)を用いる方法で, 障害児をもつ母親の心理的課題について検討を行った. 「方法」:本研究は, 発達障害児をもつ母親へ, 全3回の面接とMPCを行った. 母親のパーソナリティを把握するため, 質問紙調査を実施した. 質問紙には, 東大式エゴグラム(TEG), 自己評価式抑うつ尺度(SDS), 精神健康調査票(GHQ), Stress Behavior Coping(SBC)を用いた. 「事例」:ここでは, 発達障害児の母親でもSDSによる神経症からうつ状態と判定された2例について報告する. 母親, 38歳. 障害児(広汎性発達障害), 8歳. パート勤務. SDS(54点). 面接では, 子育ての困難さを訴えるものの, 児の問題には向き合わない育児への拒否的態度がうかがわれた. また, 児を溺愛する一方で, 捨ててしまいたいというアンビバレントな感情を抱いていた. 母親, 43歳. 障害児(注意欠陥・多動性障害), 13歳. 専業主婦. SDS(55点). 面接では, 育児の困難さと, 夫の理解がないことに苦悩していた. また, 障害児として生んでしまった自責感を抱えていた. 上記の事例について, MPCの印象と考察を加えて報告した.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.50.3_247_2