2.心身症として経過観察されていた食道アカラジア患者の1例(第60回日本心身医学会中部地方会演題抄録)

背景:機能性消化管障害は消化性潰瘍や腫瘍のような器質的な疾患と異なり, 確定診断がつけにくい. 内視鏡検査で異常を認めないため, 向精神薬を処方される例もある. 「心因性嘔吐症」として対応されていた症例に対して食道生理機能検査によって病態が明らかになった1例について報告した. 症例:33歳, 男性, 職業営業職. 2006年1月より胸やけ, および食後の嘔吐のため近医受診, 上部消化管内視鏡検査, 上腹部超音波検査, 血液検査で明らかな異常を認めず. プロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方されるが嘔吐症状とれず. 職場でストレスを感じていたこともあり, 「心因性嘔吐症」として向精神薬を処方され1...

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Veröffentlicht in:心身医学 2009/05/01, Vol.49(5), pp.397
Hauptverfasser: 舟木, 康, 小長谷, 敏浩, 徳留, 健太郎, 飯田, 章人, 春日井, 邦夫, 米田, 政志, 金子, 宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:機能性消化管障害は消化性潰瘍や腫瘍のような器質的な疾患と異なり, 確定診断がつけにくい. 内視鏡検査で異常を認めないため, 向精神薬を処方される例もある. 「心因性嘔吐症」として対応されていた症例に対して食道生理機能検査によって病態が明らかになった1例について報告した. 症例:33歳, 男性, 職業営業職. 2006年1月より胸やけ, および食後の嘔吐のため近医受診, 上部消化管内視鏡検査, 上腹部超音波検査, 血液検査で明らかな異常を認めず. プロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方されるが嘔吐症状とれず. 職場でストレスを感じていたこともあり, 「心因性嘔吐症」として向精神薬を処方され15カ月間経過をみられていた. 嘔吐症状が悪化したこと, 体重減少が認められたことから, 2007年X月, 「難治性非びらん性胃食道逆流症, 心因性嘔吐症」として当院紹介された. 問診では, QUEST 10点, FSSG 11点, CMI領域II, 上部内視鏡検査では食道に粘膜病変なし. X線食道造影では下部食道の紡錘状の拡張を伴う造影剤の停滞を認めた. 食道内圧検査では嚥下に伴う蠕動波の出現, 下部食道括約筋の弛緩が認められず典型的な食道アカラジアと診断した. PPI内服下に実施した24時間食道pH, インピーダンスモニターでは「逆流感」の56%は酸逆流, 「胸やけ」の64%は弱酸逆流に一致していた. 病態の十分な説明, 食事指導, 投薬にて症状はほぼ消失したため, 外来で経過観察中である. まとめ:非びらん性胃食道逆流症では40%前後がPPI不応であり, 「食道神経症」として向精神薬を処方することも多い. しかし, pH-インピーダンスモニター, 食道内圧検査によって病態を評価すると, 自験例では9割以上に食道生理機能異常が発見されている. プライマリ・ケア医では食道造影検査を行うこと, 難治性症例は安易に心身症と診断せず, 専門医による食道運動機能評価が重要と考えられる.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.49.5_397_2