10.甲状腺機能亢進症によりせん妄状態を呈した1例(一般演題,第31回日本心身医学会中国・四国地方会演題抄録)

症例:S.I, 74歳, 女性. 入院に至る経過:X-2年12月, N病院循環器内科受診し, 心房細動と診断され, 服薬加療されていた. この頃から, 時折, 的外れな応答があった. X-1年11月中旬より動悸の症状が目立ちはじめ, 同院救急外来を1日おきに受診. 抑うつ的な発言, 希死念慮や動悸が心電図所見と一致せず, 心因性と考え, 11月28日同院神経内科受診. Paroxetine 20mg投薬されたが, 動悸は収まらず, 12月1日同院入院となった. 各種検査で発作性心房細動と診断され, 甲状腺機能亢進(TSH:0.01未満, FT3:8.3, FT4:3.76)もしくは僧帽弁逆流が...

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Veröffentlicht in:心身医学 2009/02/01, Vol.49(2), pp.175
Hauptverfasser: 呉家, 学, 寺田, 整司, 三船, 禎子, 山下, 幸記, 岡部, 伸幸, 黒田, 重利
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:S.I, 74歳, 女性. 入院に至る経過:X-2年12月, N病院循環器内科受診し, 心房細動と診断され, 服薬加療されていた. この頃から, 時折, 的外れな応答があった. X-1年11月中旬より動悸の症状が目立ちはじめ, 同院救急外来を1日おきに受診. 抑うつ的な発言, 希死念慮や動悸が心電図所見と一致せず, 心因性と考え, 11月28日同院神経内科受診. Paroxetine 20mg投薬されたが, 動悸は収まらず, 12月1日同院入院となった. 各種検査で発作性心房細動と診断され, 甲状腺機能亢進(TSH:0.01未満, FT3:8.3, FT4:3.76)もしくは僧帽弁逆流が原因と考えられた. Propranolol 30mgで動悸は改善したが, 12月8日頃よりボーッとした表情で「外から大声で悪口を言っている」「傍に着物を着た人が立っている」「火事だ」というような幻覚・妄想に左右されたような発言が認められ, 脳波検査で徐波化が顕著であったため, 精査加療目的にて12月12日当科閉鎖病棟に医療保護入院となった. 入院後経過:入院時の現症としては, 身体症状としては脈圧の大きい高血圧, 発作性心房細動があり, 精神症状としては夜間に強い幻覚妄想による不穏状態で, まとまらない思考・言動が認められ, 見当識障害も顕著であった. せん妄が疑われ, tiapride 50mg開始したが症状は改善しなかった. 原因検索のため, 頭部MRI・髄液検査を行ったが, 特異所見はなく, 各種脳炎は否定された. 脳波ではbackgroundが6~8Hzのdiffuseなslow waveが認められ, 意識障害が示唆された. 血液検査では相変わらず甲状腺機能亢進が継続していた(TSH:0.01, FT3:6.61, FT4:3.41). そのため, 甲状腺機能亢進によるせん妄が疑われ, 12月15日内分泌内科を受診した. Basedow病と診断され, 即日抗甲状腺剤であるthiamazole 15mg開始となった. 以後のせん妄状態・脳波・甲状腺機能・薬物治療についての経過を紹介し, 考察を加えた.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.49.2_175_3