4.薬剤師からみた心身医学分野の服薬コンプライアンスの課題(パネルディスカッション:多職種からみた心理社会的問題へのアプローチ,第43回日本心身医学会近畿地方会演題抄録)

保険薬剤師として患者に接していると, 心身医学分野の患者は医師の処方どおり服薬していないケースに多く出会う. この分野において薬物療法は治療の柱であることを考えると, 診察後の服薬コンプライアンスが重要であることはいうまでもない. 服薬コンプライアンス不良の主な原因として考えられることは, うっかり忘れのほか, 症状により多剤を服用する気力を失せているケース, 薬が怖いなどという誤解からの自己抑制によるもの, 薬剤服用による病状の回復・維持という理解が少ないもの, そもそも自己調節を行っているなどが挙げられる. また, 特にこの分野の患者は服薬不良を主治医には告げていないケースが目立っている....

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Veröffentlicht in:心身医学 2008/10/01, Vol.48(10), pp.898-899
1. Verfasser: 横井, 正之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:保険薬剤師として患者に接していると, 心身医学分野の患者は医師の処方どおり服薬していないケースに多く出会う. この分野において薬物療法は治療の柱であることを考えると, 診察後の服薬コンプライアンスが重要であることはいうまでもない. 服薬コンプライアンス不良の主な原因として考えられることは, うっかり忘れのほか, 症状により多剤を服用する気力を失せているケース, 薬が怖いなどという誤解からの自己抑制によるもの, 薬剤服用による病状の回復・維持という理解が少ないもの, そもそも自己調節を行っているなどが挙げられる. また, 特にこの分野の患者は服薬不良を主治医には告げていないケースが目立っている. パスカル薬局では, 心療内科や神経系の診療科の処方せんを全体の約3割ほど受け付けている. 過去に行った調査では, 調剤時に医師へ照会を行った案件のうち, これらの診療科においては残薬による薬の投与日数変更など患者の服薬コンプライアンスに関連する照会が全体の照会の29%を占めていたのに対し, それ以外の診療科では8%と大きな差があった. 多剤併用の場合, 服薬コンプライアンス向上には一包化が有効な場合が多い. これにより期待どおりの薬の効果が出るとともに, 医師の処方コントロールも容易なため適切な処方に行き当たりやすいためと考えられる. 薬剤への誤解や理解に問題がある場合, それを薬剤師の立場では解こうと試みるが, 正確な病名がわからない, 病名を告知しているかどうか不明, 薬の適用外使用が多い, などの問題があるうえに, さらに患者本人のかたい思い込みを解いていくのは容易なことではない. しかしながら, SSRIなどでは服薬コンプライアンスがよくなければ効果が期待できないばかりか副作用も多くなることから, 服薬コンプライアンス向上は, 今後医薬連携などを通じて取り組んでいくべき重要な課題ではないかと考える.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.48.10_898_3