19. DIHS(Drug Induced Hypersensitivity Syndrome;薬剤性過敏症症候群)を呈した急性一過性精神病性障害の1例

症例:19歳, 男性. 不眠, 多弁, 独言, 過活動, 滅裂思考など精神病状態を呈し, 精神科医院で抗精神病薬を主体とした投薬(ベゲタミンAR使用)がなされ, 症状は落ち着きつつあった. 投薬19日目, 両手掌に紅斑出現し, 急速に全身に拡大. 38度台の発熱を認め, 内服中止後も紅斑が悪化したため, その翌日当院皮膚科紹介受診し, DIHS疑いで即日入院. 入院時, 肝機能障害, 好酸球増多も認めた, 経過観察で皮膚症状や血液所見は一時軽快したが, 入院第7病日(紅斑発症9日目)から39度の発熱とともに皮疹が増悪, 血液所見(肝機能障害, 白血球・好酸球増多, 異型リンパ球出現)も悪化し,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2007, Vol.47 (12), p.1056-1056
Hauptverfasser: 野村陽平, 和迩健太, 内田隆文, 村上伸治, 澤原光彦, 中川彰子, 青木省三, 堀口淳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例:19歳, 男性. 不眠, 多弁, 独言, 過活動, 滅裂思考など精神病状態を呈し, 精神科医院で抗精神病薬を主体とした投薬(ベゲタミンAR使用)がなされ, 症状は落ち着きつつあった. 投薬19日目, 両手掌に紅斑出現し, 急速に全身に拡大. 38度台の発熱を認め, 内服中止後も紅斑が悪化したため, その翌日当院皮膚科紹介受診し, DIHS疑いで即日入院. 入院時, 肝機能障害, 好酸球増多も認めた, 経過観察で皮膚症状や血液所見は一時軽快したが, 入院第7病日(紅斑発症9日目)から39度の発熱とともに皮疹が増悪, 血液所見(肝機能障害, 白血球・好酸球増多, 異型リンパ球出現)も悪化し, 二峰性の経過をとった, 入院第8病日プレドニゾロン40mgを投与開始し, 慎重に漸減された. 徐々に皮膚症状, 血液所見とも改善し, それとともに幻覚妄想状態も軽快したため, 入院第27病日で退院した. 本症例は, (1)限られた薬剤(本症例はフェノバルビタール)投与後に遅発性に生じ, 急速に拡大する紅斑, (2)原因薬剤中止後も2週間以上遷延, (3)38度以上の発熱, (4)肝機能障害, (5)血液学的異常(白血球・好酸球増多, 異型リンパ球出現), (6)リンパ節腫脹, (7)HHV-6(Human Herpes Virus 6)の再活性化, の7つすべての主要所見を満たし, 典型的DIHSと診断した. 退院後も皮膚症状, 精神症状(投薬なし)とも安定している. 薬疹が投薬中止後も遷延し, 脳炎や糖尿病などを合併することもあるDIHSをわれわれ精神科医も把握しておく必要がある.
ISSN:0385-0307