II-3. 小児心身症における精神科の役割 : 背景に発達障害を有する症例を通して(一般演題,第105回日本心身医学会関東地方会演題抄録)

心身症は身体症状の発症や経過に心理社会的因子が大きく影響し,基本的に器質的・機能的変化による身体疾患と定義されるが,小児心身症にはさらに生物学的因子,援助システムの要素が複雑に関与する特徴があり,成人以上に多彩な身体症状を呈する.このため臨床の場では小児科,内科などの身体診療科にて治療されることがほとんどである.しかし,思春期に伴う精神的な変化により,極端な気分変動や自傷行為がみられる場合や,身体的治療を継続した後も症状が悪化する場合,発達障害などの精神疾患が身体症状の背景にある場合などは精神科受診が必要となる.今回,過敏性腸症候群と診断され当院小児科外来に通院中,自傷行為を認め不登校が顕著と...

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Veröffentlicht in:心身医学 2007/05/01, Vol.47(5), pp.349-350
Hauptverfasser: 青木, 公義, 阿部, 麟太郎, 伊藤, 達彦, 橋爪, 敏彦, 加田, 博秀, 中西, 達郎, 古川, はるこ, 津村, 麻紀, 笠原, 洋勇, 中山, 和彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心身症は身体症状の発症や経過に心理社会的因子が大きく影響し,基本的に器質的・機能的変化による身体疾患と定義されるが,小児心身症にはさらに生物学的因子,援助システムの要素が複雑に関与する特徴があり,成人以上に多彩な身体症状を呈する.このため臨床の場では小児科,内科などの身体診療科にて治療されることがほとんどである.しかし,思春期に伴う精神的な変化により,極端な気分変動や自傷行為がみられる場合や,身体的治療を継続した後も症状が悪化する場合,発達障害などの精神疾患が身体症状の背景にある場合などは精神科受診が必要となる.今回,過敏性腸症候群と診断され当院小児科外来に通院中,自傷行為を認め不登校が顕著となったため当院精神科に兼科受診となった11歳女児の1例を経験した.適切な言語表出や行動がとれず失感情症の様相を呈し,状況依存的に身体臓器を通した症状(下痢,腹痛など)が出現するため小児心身症と診断したが,これまでの生活状況(対人相互交流の障害,興味対象の狭さなど)や心理テストの結果(WISC-Rの下位検査項目の偏りなど)より背景に潜む発達障害の存在が推測された.その後の治療経過については考察を交え当日発表した.小児心身症における精神科の対応として,身体症状を引き起こす要因となる精神障害の有無を検討することは重要であり,その診断によりそれまでの治療方針を転換する必要が生じる場合があると考えられた.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.47.5_349_3