強い依存欲求を治療的に有効利用した疼痛性障害患者に対するチームアプローチ : 看護師による認知行動療法的観点から

疼痛性障害患者では疼痛を訴える行動(疼痛行動)が主要な問題となることがあり,その背景に多くは母親との葛藤からくる強い依存欲求が潜在している.病院では依存欲求の対象が看護師に向けられ,疼痛時のみ受容,共感すると疼痛行動を悪化させ,難治化の因子となる.看護教育では,症状時の受容,共感を重視することから,疼痛性障害患者の治療においては医療での二次的増悪が起こることが考えられる.今回,われわれは母親から存在を否定されてきた難治の疼痛性障害に対して,医師,看護師,臨床心理士の連携で,患者の依存欲求に対して適応的な行動を統一的に強化するように対処したことで,著明な行動面の改善を示した1例を経験した.疼痛性...

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Veröffentlicht in:心身医学 2007/05/01, Vol.47(5), pp.339-345
Hauptverfasser: 木下, 由美子, 細井, 昌子, 藤本, 恵美, 平川, さつき, 富岡, 光直, 洋本, 良子, 下村, 誠子, 久保, 千春
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:疼痛性障害患者では疼痛を訴える行動(疼痛行動)が主要な問題となることがあり,その背景に多くは母親との葛藤からくる強い依存欲求が潜在している.病院では依存欲求の対象が看護師に向けられ,疼痛時のみ受容,共感すると疼痛行動を悪化させ,難治化の因子となる.看護教育では,症状時の受容,共感を重視することから,疼痛性障害患者の治療においては医療での二次的増悪が起こることが考えられる.今回,われわれは母親から存在を否定されてきた難治の疼痛性障害に対して,医師,看護師,臨床心理士の連携で,患者の依存欲求に対して適応的な行動を統一的に強化するように対処したことで,著明な行動面の改善を示した1例を経験した.疼痛性障害の看護においては,疼痛行動には中立的に対応し,擁護的な反応で疼痛行動を強化しない治療環境の設定が基礎となる.さらに,患者の心理社会的背景に根ざす看護師への強い依存欲求を有効利用し,定期的な対応で患者との良好な交流を促進して適応行動を強化する認知行動療法的アプローチが有用である.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.47.5_339