20. アルコール依存状態からの回復に墓参りを用いたシステムズアプローチが有効であったと考えられる1症例
症例:56歳, 男性. 当科初診の数ヵ月前にリストラにあい, その後より飲酒量が増加しアルコール依存状態となり, 妻のすすめにより大分協和病院心療内科受診となった. 初診時γ-GTP272U/リットルを示し, SDS69と高度の抑うつもみられた. 生育歴として, 25歳時に自分の運転する車に父親と長兄を乗せ草取りに向かう途中, 坂道で酒に酔った父親が車から放り出された所を運転操作を誤りスリップさせ父親をひき殺してしまったことがあり, また, 長兄もアルコール依存症の既往をもち自殺したという背景があった. このことを用いて, 患者の飲酒は亡くなった父と兄の供養のためのものであるという介入を行った...
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Veröffentlicht in: | 心身医学 2006, Vol.46 (12), p.1058-1058 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例:56歳, 男性. 当科初診の数ヵ月前にリストラにあい, その後より飲酒量が増加しアルコール依存状態となり, 妻のすすめにより大分協和病院心療内科受診となった. 初診時γ-GTP272U/リットルを示し, SDS69と高度の抑うつもみられた. 生育歴として, 25歳時に自分の運転する車に父親と長兄を乗せ草取りに向かう途中, 坂道で酒に酔った父親が車から放り出された所を運転操作を誤りスリップさせ父親をひき殺してしまったことがあり, また, 長兄もアルコール依存症の既往をもち自殺したという背景があった. このことを用いて, 患者の飲酒は亡くなった父と兄の供養のためのものであるという介入を行った. 患者が飲んだ酒と同じ酒を同じ量亡くなった二人分用意しておき, 毎週末墓参りに行き, それぞれの墓にかけるよう指示した. 数ヵ月後患者より『墓参りに行くと気持ちが落ち着く』という言葉が聞かれ, 徐々にγ-GTPが正常化した. 考察:アルコール依存状態からの回復には困難を伴うと考えられることが多いが, システムズアプローチがアルコール状態からの回復に効果的に働いたと考えられる例を経験したので報告した. |
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ISSN: | 0385-0307 |