4.心身医学的アプローチが糖尿病管理の改善に有効であった摂食障害合併1型糖尿病患者の1例
症例:11歳で1型糖尿病を発症した31歳, 女性. 発症後, HbA1c 10~13%で経過. 高校生の頃からやせるためにインスリン注射を故意に省略, 減量, 大学生になってから過食や下剤濫用を開始. 20代で白内障で入院したことを契機に血糖コントロールをよくしたいと食事量や食事内容を極端に制限, その後HbA1cは8~9%台で経過. 結婚後は挙児希望のためにさらに食事へのこだわりは強くなり, 日中は漬物だけしか食べないという拒食をし, 夜中になるとその反動でパンを過食していた. 挙児の相談のために受診した病院で, 挙児のためにはむしろ低カロリーへのこだわりをなくすことが必要であると医師から言...
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Veröffentlicht in: | 心身医学 2006, Vol.46 (11), p.1000-1000 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例:11歳で1型糖尿病を発症した31歳, 女性. 発症後, HbA1c 10~13%で経過. 高校生の頃からやせるためにインスリン注射を故意に省略, 減量, 大学生になってから過食や下剤濫用を開始. 20代で白内障で入院したことを契機に血糖コントロールをよくしたいと食事量や食事内容を極端に制限, その後HbA1cは8~9%台で経過. 結婚後は挙児希望のためにさらに食事へのこだわりは強くなり, 日中は漬物だけしか食べないという拒食をし, 夜中になるとその反動でパンを過食していた. 挙児の相談のために受診した病院で, 挙児のためにはむしろ低カロリーへのこだわりをなくすことが必要であると医師から言われ, 当科を紹介され, 本人の希望にて入院治療を行った. 入院時, BMI18.9, HbA1c7.6%, 合併症は糖尿病性網膜症(汎網膜光凝固術後), 多発神経障害, 腎症3期. 入院当初は自己流の糖尿病管理にこだわり, 治療的取り決めに強い抵抗を示したが, 当科の認知行動療法+行動療法的諸介入の中で, 自分が行ってきた行為の無理や矛盾に気づき, しだいに無理のない糖尿病管理が可能となった. 退院後は, 三度の食事摂取と決められた量のインスリン注射の施行を無理なく継続しており, HbA1cは8%前後で経過している. 結語:摂食障害を合併した1型糖尿病患者に対して, 患者自身に可能なレベルの糖尿病管理を身につけさせることで, 患者はある程度余裕をもって生活することができるようになった. そうした精神的な余裕は患者の強迫性を緩和し, 摂食障害の改善にもつながったと思われる. これにより, 結果的に血糖コントロールも改善した. |
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ISSN: | 0385-0307 |