脳卒中回復期リハビリテーション病棟における心理的諸問題と心身医学の役割(シンポジウム/心身医学と社会,環境との関わり-心身相関の医学より一歩先へ-,第46回日本心身医学会総会)

回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟,SRU)は,発症3カ月以内の脳卒中患者などを集中的,効率的に治療し,在宅復帰を進める目的で,2000年に開設された.180床のSRUを有する当院で心身症担当医と臨床心理士が過去5年間に経験した心理的問題は,疾病受容困難,脳卒中後うつ(PSD),不穏・せん妄,感情失禁,性格の先鋭化,性的軋轢,家族との乖離,スタッフや治療への不信,不満などに及んだ.2003年に回復期リハ病棟を退院した166名の脳卒中患者を対象とした逆行性調査の結果,PSDと不穏せん妄はそれぞれ患者全体の1/2弱と1/4弱を占めた.両者とも身体,認知機能の障害が重いほど多く,不穏...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2006/07/01, Vol.46(7), pp.645-653
Hauptverfasser: 大隈, 和喜, 江頭, 政和, 衛藤, 宏, 加藤, 真樹子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:回復期リハビリテーション病棟(以下,回復期リハ病棟,SRU)は,発症3カ月以内の脳卒中患者などを集中的,効率的に治療し,在宅復帰を進める目的で,2000年に開設された.180床のSRUを有する当院で心身症担当医と臨床心理士が過去5年間に経験した心理的問題は,疾病受容困難,脳卒中後うつ(PSD),不穏・せん妄,感情失禁,性格の先鋭化,性的軋轢,家族との乖離,スタッフや治療への不信,不満などに及んだ.2003年に回復期リハ病棟を退院した166名の脳卒中患者を対象とした逆行性調査の結果,PSDと不穏せん妄はそれぞれ患者全体の1/2弱と1/4弱を占めた.両者とも身体,認知機能の障害が重いほど多く,不穏・せん妄は高齢,認知症,左側麻痺に関連して多かった.PSD,不穏せん妄合併群では入院期間が有意に長かったが,治療介入によって訓練は継続され,ADLレベルは有意に改善した.SRUの心理的ケアには全人的医療の観点が必要であり,今後心身医学の役割が期待される.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.46.7_645