50. 箱庭療法における攻撃行動を不安の逆制止として用い,著効をみた適応障害児の1例(第43回 日本心身医学会九州地方会演題抄録 (2))

はじめに:箱庭療法における攻撃行動表出の段階を徹底化させることで, その後の主張行動が容易となった症例を経験したので報告した. 対象:対象は9歳(小学校3年生)の適応障害の女児. 保育園の頃からさまざまないじめにあったため, 校友関係においては主張性と攻撃性を極度に抑制するか, 爆発させるといった“悉無律的”な行動を繰り返し, 結果としての対人関係の破綻を修復する目的で演者らのカウンセリングを受けることになった. 方法:負の感情表現に強い抵抗を示し, 言語的なセラピーを拒否したため, 箱庭療法での自由な感情表現を促すことにした. 初期3回の箱庭は柵などに囲まれた防衛的なものであったが, 後期3...

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Veröffentlicht in:心身医学 2005/03/01, Vol.45(3), pp.243-244
Hauptverfasser: 益満, 成美, 武井, 美智子, 平川, 真理子, 岩重, 正一, 大西, 朝子, 小波津, 裕子, 原田, 加代子, 平川, 忠敏, 山中, 隆夫, 高山, 巌
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:箱庭療法における攻撃行動表出の段階を徹底化させることで, その後の主張行動が容易となった症例を経験したので報告した. 対象:対象は9歳(小学校3年生)の適応障害の女児. 保育園の頃からさまざまないじめにあったため, 校友関係においては主張性と攻撃性を極度に抑制するか, 爆発させるといった“悉無律的”な行動を繰り返し, 結果としての対人関係の破綻を修復する目的で演者らのカウンセリングを受けることになった. 方法:負の感情表現に強い抵抗を示し, 言語的なセラピーを拒否したため, 箱庭療法での自由な感情表現を促すことにした. 初期3回の箱庭は柵などに囲まれた防衛的なものであったが, 後期3回では火山の爆発や父親を殺すなど感情を移入して強い攻撃を示した. その後は過剰な攻撃性が除去され, 適度な感情表現ができるようになるとともに友人を得て, 学校生活を楽しめるようになった. まとめ:箱庭療法は攻撃性の十二分な表出に重点を置くならば, 行動療法技法の1つである爆発(徐)反応としてきわめて有用であることが示唆された.
ISSN:0385-0307
2189-5996
DOI:10.15064/jjpm.45.3_243_3