4.抑うつ状態を伴うパニック障害に半夏厚朴湯が著効した1例

症例:37歳, 男性. 主訴:全身倦怠感, 動悸, 息苦しさ. 3年前入浴時に, 突然の動悸, 息苦しさをきたし, その後も頻回に出現. 心肺機能は異常なかったが, 徐々に倦怠感も増強したため当科入院となった. いったん軽快退院し, 症状の再増悪をきたして5ヵ月後に再入院. 抗うつ剤をイミプラミンからミルナシプランヘ変更し抑うつ気分, 倦怠感は軽快傾向を認めたが, パニック症状による死への不安が持続した. 加味迫遥散の併用にて抑うつ気分, 倦怠感は軽快したが, パニック発作は頻回に出現した. 半夏厚朴湯に変更したところ症状は完全に消失した. 退院後も不安なく仕事に従事できている. 半夏厚朴湯は...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心身医学 2003, Vol.43 (6), p.383-383
Hauptverfasser: 小林貴美子, 水野泰行, 神原憲治, 下荒神武, 西田愼二, 中井吉英
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例:37歳, 男性. 主訴:全身倦怠感, 動悸, 息苦しさ. 3年前入浴時に, 突然の動悸, 息苦しさをきたし, その後も頻回に出現. 心肺機能は異常なかったが, 徐々に倦怠感も増強したため当科入院となった. いったん軽快退院し, 症状の再増悪をきたして5ヵ月後に再入院. 抗うつ剤をイミプラミンからミルナシプランヘ変更し抑うつ気分, 倦怠感は軽快傾向を認めたが, パニック症状による死への不安が持続した. 加味迫遥散の併用にて抑うつ気分, 倦怠感は軽快したが, パニック発作は頻回に出現した. 半夏厚朴湯に変更したところ症状は完全に消失した. 退院後も不安なく仕事に従事できている. 半夏厚朴湯は中間証気欝の代表的漢方であり, 筋弛緩, 抗痙攣, 鎮吐などの作用をもつ生薬から成り, ヒステリー球, 心臓神経症などに効果があるとされている. 心身医学領域の疾患では, 西洋薬に漢方薬を併用することで, より大きな効果が得られる例もしばしばみられる点が特筆に価する.
ISSN:0385-0307